薬指の標本 (新潮文庫)

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本棚登録 : 7877
レビュー : 1096
著者 :
Rさん 小説   読み終わった 

薬指の標本。
人々の思い出を標本にして閉じ込める標本室で働く私と標本技師。技師の眼差しや、私に背中に添えられた大きな手、正確な言葉、それらにからめとられる女の喜び。保存液の中で音もなく揺れるような物語。

欠損した薬指の先であったり、黒い革靴であったり、火傷の痕であったり、誰も居ない浴室の静かで清潔なフェティシズムやエロスが支配する物語でもあったけど、一番それをあらわしたシーンは技師が脱がしたビニールの靴を浴室の床に叩き付けた様を優美に感じながらもそれをまだまだ歩き続ける合図のように捉えた女の思考だったと思う。そこが非常に気に入った。

ラストの終わり方も予想通りとはいえこれ以上ない所で終わっていて気持ちよかった。

六角形の小部屋
語り小部屋と呼ばれる六角柱に入り独り言を落とす不思議な話。
リアリティーを持たせながら非現実的な話を書き、1を10に大げさに描写出来る著者の能力がこれでも活かされてる。
こちらのほうは主人公の私が嫌いなタイプで合わなかったし、何がという物語でもないので淡々と読み進めていったが内緒話を覗き見てるような感覚で楽しんだ。そして終わり方が最高に好み。

それぞれ5と3で間を取って四つ☆。

レビュー投稿日
2013年11月18日
読了日
2013年11月18日
本棚登録日
2013年11月15日
2
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