コンビニ人間

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本棚登録 : 11336
レビュー : 1713
著者 :
Kazuki  Moriさん  未設定  読み終わった 

冒頭、コンビニの圧倒的な描写に息を呑む。同時にそこには古倉の異質性も描き出されていて、ぐいぐい引き込まれてしまった。

本作は、単なる古倉という異質な人間の異端な物語ではない。描かれているのは「あちら側の世界」と「こちら側の世界」のまごうことなき断絶である。
社会はあちら側の理論でできており、いくらすり寄って「マニュアル」通りに動こうと、そもそもが誤りだ。そんな結論に至る古倉を通じて、本作は痛烈な社会批判を展開している、あるいは現代にある、とあるマイノリティの存在を悲痛なまでに描き出しているとも読める。

古倉は本著において、あちら側=いまの私たちの社会における「通常」に対する異端として描き出されている。
しかし、「あちら側のマニュアルに添えたら楽なのに、全て指示してもらえたらその通りにするのに」「私は周囲の人たちをコピーすることでできていて、周囲が変われば私は全く変わってしまう」といった古倉の内省には、「あちら側」への同調圧力をうっすらとでも違和感を持って受け止めたことがある人なら、共感を抱く人は決して少なくないだろう。

その意味で、実は私たちの多くが、自身のなかに「古倉性」を保持しているはずだ。あるいは古倉の姿は、こうした「いまの社会における異端」であるこちら側、である私たちに対する、ひとつのメッセージであるようにも思える。いるんだろ、そこにも。君も古倉じゃないか。「あちら側」の人間だらけの世界で生きづらさを感じる私たちのための、これは聖典だ。

レビュー投稿日
2018年1月25日
読了日
2018年1月25日
本棚登録日
2018年1月25日
9
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