明治維新から150周年の節目、大河ドラマ「西郷どん」を意識しての、西郷隆盛を取り上げた傑作6選で編んだアンソロジー。
国枝史郎 「悲恋 犬神娘」
吉川英治 「谷千城夫人」
菊池 寛 「田原坂合戦」
池波正太郎 「賊将」
松本清張 「西郷札」
芥川龍之介 「西郷隆盛」
国枝史郎は、1948年に没した伝奇小説作家とのこと。少々世代の異なる作家で、読みにくさを感じた。尊王攘夷派の僧・月照の薩摩への逃避行が描かれている。・・・が正直、伝奇小説というのがよくわからず。
吉川英治の作品は、さすがによかった。西南戦争時に熊本籠城した谷千城の夫人の奮闘に焦点を当てた作品。圧倒的な軍力のハンディの中、籠城を何十日も続けられたその裏側に、このような夫人の戦いがあったとは。
菊池寛の作品は、西南戦争の凄惨さをリアルに描いた作品だろうか。戦闘シーンが具体的に書かれていたように思うが、自分にとってはそれほど面白さは感じなかった。
池波正太郎の作品はわかりやすい。征韓論で敗れ、西南戦争でその生涯を燃やし尽くす西郷と、西郷を慕い西郷のために捧げぬく中村半次郎(桐野利秋)の視点で描かれた作品。やはり「賊将」というタイトルになるわけですね。
松本清張の作品は題名どおり、「西郷札」について書かれた作品。
そして、芥川龍之介の作品もまた、ダイレクトに西郷を書いたものではなく、変化球的な作品だった。
結局、作品として個人的に楽しめたのは、吉川、池波、松本の各作品かな。あとは自分には理解不足です(笑)。
ただ、多くの作家が西郷を書きたかったのだなということはよくわかりました。
- 感想投稿日 : 2018年2月25日
- 読了日 : 2018年2月25日
- 本棚登録日 : 2018年1月21日
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