コーヒー哲学序説

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本棚登録 : 112
レビュー : 13
著者 :
abba-rainbowさん 寺田寅彦   読み終わった 

昭和8年の随筆のようである。この青空文庫のブラウンカラーとタイトルがいやにマッチしている(笑)。

当時はまだ日本では、コーヒーは珍しい嗜好品であった。
生まれて初めて味わったコーヒーを寅彦さんは、こう表現した。

「すべてのエキゾチックなものに憧憬をもっていた子供心に、この南洋的西洋的な香気は未知の極楽郷から遠洋を渡って来た一種の薫風のように感ぜられたものである」

なんともカッコイイのである。

それから海外のコーヒーを経験した寅彦さんは、日本庶民の最先端であったろう。

茶碗の厚みが味覚を変える体験を語り、コーヒーの出し方は芸術だと語る。

「やはり人造でもマーブルか、乳色ガラスのテーブルの上に銀器が光っていて、一輪のカーネーションでもにおっていて、そうしてビュッフェにも銀とガラスが星空のようにきらめき、夏なら電扇が頭上にうなり、冬ならストーヴがほのかにほてっていなければ正常のコーヒーの味は出ないものらしい。コーヒーの味はコーヒーによって呼び出される幻想曲の味であって、それを呼び出すためにははやり適当な伴奏もしくは前奏が必要であるらしい。」

この表現がまた美しい! 頭上の電扇が素敵すぎる。

うまいコーヒーのための環境づくりか・・・。コーヒー哲学だなぁ。

ともかく寅彦さんがカッコよすぎます。

レビュー投稿日
2019年7月27日
読了日
2019年7月21日
本棚登録日
2019年7月20日
5
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