地方放送局の美人アナウンサーの西田枝美子。
34歳になりテレビからラジオへの転属の話など、
それまでの栄光がガラガラと音を立てて崩れ落ちてきていた冬の始まりに
一人の男性と出会い、身も心も虜になっていくお話です。
年を重ねた女性が、それまで自分が立っていたフィールドがぐらぐらして
その場所からの「逃げ」の意味で男性の庇護の許に行こうとした時
男性はその行動がうっとうしくなる部分があるのかもしれません。
それなら遊びなら遊びと言ってくれたほうが親切だったかも。
作品中、同僚の女性とのやり取りの中でとても心に残ったフレーズは
『女が年を重ねていくと言うこと、ひとりで生きていくということは、
この同情という汚物をまわりから少しずつかけられていくということなのだ。
そして惨めさの臭気を漂わせて、人の群れから離れていくのだ・・・。』
彼女は男と出会う前の、同情をかけられる自分に戻れないと、
彼女から離れていく男に殺意を抱くのだけれど、
とても悲しい生き方の選択です。
精神的に、金銭的に依存しなければいけない関係は
どちらかが無理をしているのだから、
遅かれ早かれ破綻することは目に見えるよう。
でもバランスの取れた関係や生き方は難しくって
あっちにふらふら、こっちにふらふらってなってしまうんですよね。
それも分かる。
過去は消し去ることは出来ないけれど、未来は自分で選択したなぁと思ったのでした。
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カテゴリ:
小説(レンアイ)
- 感想投稿日 : 2008年2月17日
- 本棚登録日 : 2008年2月17日
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