シッダルタ (岩波文庫)

4.28
  • (35)
  • (15)
  • (13)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 231
レビュー : 28
制作 : 手塚 富雄 
めいさん  未設定  読み終わった 

「たいていの人間は、カマラよ、風に吹かれ、くるくると舞い、さまよいよろめいて地に落ちる木の葉に似ている。しかし少数ながら星に似た人間がいる、彼らは確固たる軌道を進み、いかなる強風も彼らにはとどかない、彼ら自身の中に、自己の法則と自己の軌道をもっているのだ。わたしの知っている多くの学者と沙門の中で、ただ一人だけがそういう意味で完全な人であった。私はけっしてその人を忘れることはできない。それはあのゴータマだ、世尊だ、あの教義の告知者だ。何千という弟子が毎日彼の教えを聴き、毎時間彼の律に従っている。しかし彼らはみな風に吹かれる落葉なのだ、自分自身の中に教えと法をもっていない」

「ものを求めるときは」とシッダルタが言った。「かようなことが起こりがちです、求める人の眼が、ただ求めるもののみを見ているために、何ものをも見出すことができず、何ものをも心に受け入れることができないのです。それは畢竟そのひとがただ求めるものばかりを考えているからです、目標があり、その目標に取り憑かれているからです。『求める』とは、何かの目標を持つことです。しかし『見出す』とは、捉われぬこと、懐をひらくこと、目標を持たぬことです。御僧よ、あなたは実際『求める人』のように思われます。なぜならあなたはあなたの目標を追うあまり、しばしばあなたの眼の前にあるものに気づかれぬから」

レビュー投稿日
2016年11月28日
読了日
2015年11月25日
本棚登録日
2015年11月22日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『シッダルタ (岩波文庫)』のレビューをもっとみる

『シッダルタ (岩波文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。
ツイートする