映画じゃない日々 (祥伝社文庫)

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本棚登録 : 344
レビュー : 29
著者 :
あこさん ┣加藤千恵   読み終わった 

映画はいいなぁ。
満ち足りない日常も、閉塞感も、悲しみですら綺麗な画になる。そして1番幸せなところで「めでたし、めでたし」となる。
ところが、現実はもちろんそうはいかない。満ち足りなさも閉塞感も悲しみも、乗り越えて、もしくは抱えて一緒に生きなければならない。もちろん「めでたし、めでたし」の向こう側にある日々も。

そんな「映画じゃない日々」を生きる8人の女性たちの短編集です。
加藤千恵作品は読むと苦しくなることを知りながら、いつも読んでしまいます。淡々と過ぎる日常に潜む、むなしさとか閉塞感を描くのが本当に上手くて辛いです。

加藤千恵の別の作品に、「悩んでいるなら言えばいいんだ。弱っているなら癒せばいい。傷があるなら治せばいい。けれど。けれど、悩んでも弱っても傷ついてもいないなら、どうすればいいのだろう。 」っていう言葉があって、この本に描かれている閉塞感とか、なにか足りない感じって、まさにこの手のものだと思います。
明確な解決策も逃げ道もない、でもそれは確かに存在していて、だからこそもがくという種類のもの。
痛いから、絶対に棘が刺さってることは間違いないんだけど、どうにも目に見えないから取れないみたいな?笑

だから、主人公達もみんな霧が晴れてスッキリ!なんて結末にはならないのだけど、少し心が軽くなるとか、小さな光が見つかったりします。

そんな小さな光でも、そちらに目を向けることで、棘の痛みを少し忘れることができて、そのうちに、棘のことすら気にならなくなっていくのかな。でもたまに思い出したように痛んだりして。それって「映画じゃない」からこそ味わえる機微なのかもしれません。

レビュー投稿日
2012年11月5日
読了日
2012年10月29日
本棚登録日
2012年11月5日
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