『夕張市長まちおこし奮戦記』のアンサー本。夕張市の破綻前後を追跡したルポルタージュです。
2006年、北海道新聞による夕張市の財政難の取材からはじまり、財政再建団体への転落、そしてその直後の市の状況を丹念に追っています。
夕張市を巡る過熱報道ぶりがまだ記憶にあるためか、当時の状況とすり合わせながら、報道だけではうかがい知ることのできなかった当事者の苦悩とか、動向が読み取れます。
また、財政難から破綻に至る経緯は、巻末にある解説を読めばざっくりとわかるように編まれています。
特に金融機関の「追い貸し」の件は、『夕張市長まちおこし奮戦記』での大言壮語ぶりと合わせて読むと、まさに鬼畜の所行。
このように読み応えがあり、これはこれでいいのですが。
一つ腑に落ちないのは『夕張市長まちおこし奮戦記』の時点で、すでに夕張市は起債制限されており、さらには1982年の段階で財政再建団体への転落が危惧されていました。
にもかかわらず、なんでこんなことになったのか?
あたかもバブル崩壊が引き金で財政が悪化したかのような分析がされているけど、それより前から危ない橋を渡っていたんじゃないの? と思うのですが…。
1980年代当時のエライ人やメディアの方々、そして当事者たちはどんな感じで、夕張の観光開発を見ていたんでしょうか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
廃墟/産業遺産
- 感想投稿日 : 2014年1月11日
- 読了日 : 2014年1月11日
- 本棚登録日 : 2014年1月11日
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