現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。

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本棚登録 : 177
レビュー : 5
著者 :
本の犬さん  未設定  読み終わった 

面白かったです。
タイトルの通り、筆者はフィールド言語学者でありながら、ブルシャスキー語が通用するパキスタンの奥地に行くことを億劫に思っています。そんな筆者のエッセイ集ですが、世界に正書法の存在する言語が半分しかないことや、方言と言語の区別は非常に曖昧であることなど、興味深いトピックが出てきます。
個人的には、「フンザ人からパキスタン人へ」という話が好きです。フンザ人は、筆者が10数年追いかけているブルシャスキー語の母語話者で、フンザ谷というパキスタン奥地に住んでいます。筆者は当初、彼らの村的なあたたかさに感動しており、フンザ人自身も1974年までフンザ藩王国に属していたこともあり、下界のパキスタン人と俺たちは違うという強い意識を持っていました。それが、いつの間にかインフラが整備され、観光客も増え、普通のパキスタン人のようにお金大好きになってしまったことを、筆者は嘆いています。
僕個人としては、経済が発展して田舎が商業主義的になってしまうことは、必ずしも悪ではない。都市から来る観光客こそ商業主義や資本主義の恩恵を受けており、田舎の住人にそうであるなと求めることはエゴだと思います。一方で、インターネットの発達もあるとは思いますが、経済発展により景観は一様になり、人々の嗜好やライフスタイルも均一化する流れがあります。我儘だとは思いつつも、すれていない素朴で美しい土地が残って欲しいと願わずにはいられません。

レビュー投稿日
2019年10月27日
読了日
2019年10月27日
本棚登録日
2019年9月23日
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