我が家のヒミツ

著者 :
  • 集英社 (2015年9月25日発売)
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奥田英朗のソフトカバー 家日和、我が家の問題、に続く我が家モノ。
面白くないわけがない。

が、今回の面白さは爆笑系ではなく、じんわり温かく泣かせてくれる。
どうやら子供ができそうにない妻、biological fatherにはじめて会う娘、そのへんにいくらでも転がっているハナシだろうが、ひとりひとりにとっては大きな困難、人生のハードルだ。
とくに、出世競争に破れた男や 妻に先立たれた父 の話は 真に迫っていて もう滅茶苦茶に切ない。
そんなのよくある話、みんな頑張ってるんだからお前も頑張れ、という励ましはもうたくさん。
疲れた。
とっても疲れた。
そんな気持ちに、奥田氏の平易な言葉遣いがとても合う。
通勤で混雑する駅のホームに備え付けたいくらいだ。

ところで、文章の上手さは変わらない奥田氏だが、大きく変わってきたなぁと思うのが、メディア露出。
かつて、伊良部シリーズなどが大評判だったころは検索しても いったいどういう方なのか?情報がとても少なかった。

でも、今は写真はあるわ インタビューはあるわ、ファンとしては喜ばしい。

今回の家シリーズは 妻の選挙出馬を応援するという体で、落ち目の作家が登場する。 
以前にも、夫が作家として売れてしまって近所付き合いが難しくなってきた妻がマラソンに挑戦する というのがあった。
どちらも双子の息子が登場する。
もう大学生だそうだ。

売れなくて困ってるなんてことはないだろう。
けど、お子さんが大きくなってきて、メディアから家族を護る必要も小さくなった? と勝手に想像する。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本の小説
感想投稿日 : 2015年10月9日
読了日 : 2015年10月9日
本棚登録日 : 2015年10月9日

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