蜜蜂と遠雷

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レビュー : 1365
著者 :
adagietteさん 日本の小説   読み終わった 

やっと読み終わった。
なかなか読み進められず、えらく時間がかかってしまった。
少し読むごとに、泣けて泣けて仕方なく。
それで前に進まなくて。。

正直言って、まるでコミック ....ライトノベルというのだろうか? ふんわりと明るく、現実的な力強さよりも、特殊な照明を当てた舞台のようにキラキラした面だけを浮かび上がらせている、そんな文章だ。

なのに泣けるのは、ひとえに、冒頭に示されたコンテスタントたちのプログラムゆえ。
風間塵の 夢のようなプログラム
マサル・カルロスの これまたおとぎ話のようなプログラム
栄伝亜矢の 弾けるんかこれ?な重厚なプログラム
唯一 現実世界の人かと感じられる 高島明石のプログラム
億万もの音符に、気の遠くなるような億万の時間を費やすピアニスト達。
その辛い辛い道のりを支える、強靭な精神と素晴らしい音楽の一瞬のきらめき。
凡庸な人間には決して手の届かない、私の人生には決して訪れない。
でも確かに存在する。

”君の行く道は〜果てしなく遠い〜なのになぜ〜歯を食いしばり〜君は行くのか〜そんなにしてまで .....

昔、こんな歌があった。
個人的に、こんな気持ちを抱ける相手は音楽家のみ、かもしれない。
本作でいえば、高島明石のみ。
塵や亜矢やマサルの持つ力は超人としか思えず、コミックのそれでしかないのだけれど .......

それでも、彼らの苦しみや喜びが 脳内に響く音とともに 体温を持って伝わってくる。
それはプログラムが提示されているからだ。
冒頭のプログラムこそが、この作品を際立ったものにしている。

恩田さん、たぶん、この作品のために膨大なリサーチをし、たくさんの曲を聴かれたのだろう。
聴き古したようには感じられない、音を伝える瑞々しい言葉をざくざくと踏みしめるような感覚を終始覚えながら、読み進めた。

順位などない。
最後のページをめくらずとも、いや 本選のコンツェルトを読まずとも、音楽が解き放たれた喜びを自分の耳で聴いてみたい、という願いを残してくれた。
この世のすべての真摯な音楽と音楽家への敬意と愛を感じる作品だった。
涙 涙

レビュー投稿日
2018年1月22日
読了日
2018年1月22日
本棚登録日
2018年1月22日
15
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