かがみの孤城

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本棚登録 : 8597
レビュー : 1098
著者 :
adagietteさん 日本の小説   読み終わった 

"嫌なことは嫌っていうんだよ。
それが言えないときは、みんながびっくりするくらい大きな声で泣くんだよ "
私の子たちは、まだ幼い頃にそんなふうに教えられて、幸運だったかもしれない。

”思春期のこどもは、親の言うことや、ましてや教師のいうことなどきかない。 友達が強く影響を与える" 
これは保護者として聞かされた言葉。
本人たちはそんなことをわかりはしまいが、子供が苦しいときは親も苦しい。そんな時に何度もかみしめた。

かがみの狐城
主人公の こころ は、中学に進学してすぐに、 クラスメイトから激しいいじめと脅迫行為を受け、学校に行かれなくなってしまう。
親しくなりかけた子も味方してくれず、何が起こったのか理解してもらえないのではないか....という躊躇いが大きく、親にも言えない。
そんなとき、部屋の姿見が虹色に輝く。。。

ミステリー&ファンタジー仕立ての いじめをテーマにした話か?と思ったが、それだけではない。
行きたくないわけじゃないのに学校に行けなくなる子たち。
それぞれの事情は異なるが、 ふしぎな城に招かれた7人は、願いを叶える鍵があること、1人しかそれを使えないこと、願いが叶えられた時点で全ての記憶はなくなること、叶えられなければ記憶は残ることを言い渡される。

思いがけず人生につまづいてしまった その事情の解決が主題ではなく、本人たちがジタバタして出口を探していく、そういう話なのだ。
自分の不快のでどころが ハッキリしない ハッキリさせたくない 10代のもやもやした時期。
そこを通り抜ける、周りにはみえない時間が 描かれている。

他人に対して恐怖感をもつ こころ が、次第に城の仲間と連帯感を持っていく。友達に なる。
嫌だと意思表示することも、本当のことを話して助けを求めることも大事な力。
じわじわとそういう力をつけていく。
”こころ”の成長。

軽やかで読みやすくふんわりした感触を残しながら同時に濃い充実感も備える。
教育学を学び、SFが好きな辻村さんらしい作品。

2018年本屋大賞受賞作
久しぶりに ブッチぎりトップだった。

レビュー投稿日
2018年9月17日
読了日
2018年9月17日
本棚登録日
2018年9月16日
15
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