もういちど生まれる (幻冬舎文庫)

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レビュー : 233
著者 :
ナニモノさん  未設定  積読 


若者の脆い部分をえぐっていく。

連作短編となっていて、20歳の5人が主人公の物語。

5人は決まって、同じような視点で、自分の周りの同級生をバカにしているところがとても面白かった。
朝井リョウさん自身の、冷静かつイジワルな視点が生み出す言葉であると思った。

1「大学って、そういうところだ。無責任を背負って、自由を装っている。未来どころか、三歩ほど先のことだって、本当は誰にも見えていないんだ。」

これは、大学生が全員感じているけれど、なかなか言葉にできない感情だと思う。
将来のことなんて、何も見えていないのに、この自由な環境の中では、どこか安心してしまっている。

そして、僕が一番、心をえぐられたのが、
最後の「破りたかったもののすべて」

20歳になるダンサー、ハルが主人公。

2「高校生の頃は、日常の繰り返しの中で、非日常を見せてくれる人間のことを、すごい、と思っていた。日常に根差している才能を、すごい、と感じられるのは、もっともっと後のことなんだ。」

高校生の頃から、「すごい」と言われてきたハル。
その言葉を、信じ切って20歳になった彼女は、その「すごい」がもうすでに、賞味期限切れである事に気付いた。

そして、同じダンススクールには、圧倒的な才能のある有佐がいる。

3「私は、ただ単に普通になることを選べなかったから、今の学校にいる。有佐は、特別になることを選んだから、今の学校にいる。その違いは、とても大きい。」

ハルは、周りから認められたくて、ダンサーになった。

けど、有佐は、純粋にダンスを求めて、ダンサーになった。ダンサーになる決意の固さに、あまりにも差があったことに、ハルは気がついたんだと思う。

僕自身も、ハルのように、周りから認められたくて、突き進んでいると感じた。
自分が選ぶ道を、考え直すきっかけとなった。
僕は、20歳になって、もういちど生まれる。

レビュー投稿日
2019年7月18日
本棚登録日
2019年6月16日
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