「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい (講談社文庫)

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レビュー : 13
著者 :
afro108さん  未設定  読み終わった 

 タイトルがショッキングで、このタイトルに関してゴリゴリ書いているかと思いきや、過去の連載をまとめたもので、様々な内容について言及していた。なので森達也ってどんな人なのか?という入門編としてピッタリだと思う。僕はドキュメンタリーの映画監督という認識で、A、A2、FAKE、新聞記者iと見ているけど、どれもめちゃくちゃオモシロいのでオススメ。特にAシリーズはオウム真理教に内部から密着しているドキュメンタリーで、本著でも繰り返し言及されているA3の前の話なので見ておけばA3を100倍楽しめる。
 一部加筆されているものの、2000年代後半~2010年代初頭に書かれたコラムで構成されている。著者が当時懸念していたことがことごとく表面化している最近で、読んでいると辛い気持ちになった。日本は平和な国なのかもしれないけれど、その平和を達成するために何を犠牲にしているのか、再三言及している麻原彰晃がなぜサリンを撒かせたのか、その原因を突き止めずに、社会が考えることを放棄した結果、どんどん国民の権利が侵害されている。そのことに無自覚なまま、責任を取らない社会がどんどん広がっていくディストピア。政治のニュースを見ていて意味が分からない/気持ち悪いと感じるポイントが数多く指摘されており、それは確かにそうですねーと納得することばかりだった。普段特定の人としか政治の話はしないけど、こんな風に自分の意見を述べて同意・反対含めて議論しないと政治自体が成熟しないなと最近思う。なぜなら今の政治のレベルは保守/革新とか右/左とかそういう次元の議論ではなく、もっと土台レベルでおかしいことの連続だから。そして「おかしい」と声に出さなかったことのツケを払っているような気がする。じゃあこれからどうするねんというのは読んだ人が一人ずつ行動するしかない。それが民主主義なんだと思い知った。

レビュー投稿日
2020年3月6日
読了日
2020年3月3日
本棚登録日
2020年3月3日
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