【概要・粗筋】
"iDEATH"と呼ばれる場所はほとんどのものが西瓜糖でできている。そのそばで名もない「私」は本を書きながら暮らしている。日々陽の色が異なる太陽、毎日のように「私」を訪れる元恋人マーガレットと今の恋人でありマーガレットの友達であったポリーン、"the Forgotten Works"とそのそばで暮らすインボイルら飲んだくれたち、そして、私たちと同じ言葉を喋る虎たち。幻想的な"iDEATH"の世界を描くユートピア(?)小説。
【感想】
正直訳がわからない作品世界だった。時代も場所も不明だし、日の光の色が日々なぜ異なるのか、なぜ虎が喋るのか、なぜ「私」は両親が目の前で虎に食べられているのに、平然とかけ算を教えてもらえるのか、"the Forgotten Works"とは何なのか、なんであらゆるものが西瓜糖で作ることができるのか、など読み終えても、これらの疑問はほとんど解決されない(もっとも、最後の一文をどう解釈するかで、いろんな見方ができそうではあるが)。
しかし、訳がわからないとは云っても、小説としてつまらないわけではない。むしろ、訳わからないけれど面白かった。それは「私」の淡々とした語り口と、牧歌的でありつつも、異様にグロテスク(例えば、"inBOIL's iDEATH")であったりする、その格差が良いのかもしれない。
英文は非常に簡単で、中編小説で、かつ、一節一節も短いので一気に読み終えることができた。TOEIC600点レベルの英語力で十分。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文芸
- 感想投稿日 : 2011年6月19日
- 読了日 : 2007年2月
- 本棚登録日 : 2011年6月19日
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