あらすじ
文化祭を間近に控えたころ,今春は市ノ瀬を自分の後継者とするために策略をめぐらしはじめる。市ノ瀬は美大への進学の希望を今春に伝えるが,今春の金と権力に抗えずに流されてしまう。文化祭で上映する映画「さくらの唄」が完成し,文化祭当日を迎える。
第18話「絵描きの子」から第28話「最終回」までを収録。
感想
『キラキラ』をはじめとする安達哲の作品は好きなのだが,この作品は精神的にクるから,あまり読み返したいとはなかなか思えなかった。しかし,久しぶりに読んでみて,思いの外あっさり読み終えた。
連載当時から含めて少なくとも3度は読み返しているから,文化祭以降の鬱々とした展開に耐性ができていたということもあるかもしれない。しかし,あっさり読み終えることができた大きな理由は,主人公の市ノ瀬に感情移入できなくなっていることにあると思う。
また,文化祭以降の出来事はショッキングであるものの,取ってつけたように感じたこともその理由であると思う。上巻までの今春は,確かに,地上げ屋であることは明記されていたが,ただのスケベおやじに過ぎなかった。それが下巻においては一転して悪逆非道になっている。その変化が不自然なので,今春の非道な行いも市ノ瀬らをただ苦しめるだけに用意されたようにしか思えない。
取ってつけた感は,絵を描くことに大して力を注いでいなかった市ノ瀬が世界的なアーティストになってしまうというエピローグにも現れていると思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
マンガ
- 感想投稿日 : 2012年8月5日
- 読了日 : 2012年8月4日
- 本棚登録日 : 2012年8月4日
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