人質の朗読会 (中公文庫)

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本棚登録 : 1636
レビュー : 192
著者 :
ahuksunさん  未設定  読み終わった 

とても不思議な構成の本です。

とある国への旅行者たちが、とある反政府派に捕まり、人質となる。
かれらは冒頭部分で無残にも亡くなるのだけれど、人質になっている間に、それぞれの物語を朗読していた…というもの。

その物語も、壮大さとはかけ離れている。
彼らの人生の中のほんのひとときの出会い。
通り過ぎて、いつしか忘れてしまってもおかしくないようなもの。
たとえば一度だけ出会ったやり投げの青年、死んだおばあさんの話をするひと、隣にすむ娘さん…。

小川さんがピックアップして描き出す瞬間というのはいつでもどこかにありそうなものだけど、必ずどこか非日常的な雰囲気がある。
今回の物語では、それを普通の人たちがすれ違い、語りたいと思ったひとときの出会いの中に込めているように思います。

この短編では語り手たちはなくなっていて、なぜそのような朗読会が開かれたのか、なぜその話を選んで語ったのかはわからないようにできている。

語ることってとても不思議で、なぜその話をしたくなったんだろう?なんて話を自分でもしてしまう事があります。語るということの不思議についても思いをはせる作品でした。

明日にはもう別れてしまい、二度と会えなくなる人との出会いの中で、普通の人たちは日常から非日常に入り込み、そこでさまざまやことを感じるのかもしれません。

レビュー投稿日
2015年12月22日
読了日
2015年12月22日
本棚登録日
2015年12月18日
2
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