
前半もなかなか面白かったけれど、後半、茉莉ちゃんの決意と葛藤とで涙が止まらない…。
ちょっと舐めてました。
近頃、大切な家族を一人見送ったことも思い出して涙。
生きること、時間のあることが贅沢に感じさせられた。
実際に作者も執筆後に亡くなっているのは、同じ病だったからだったのでしょうか。
病床中の描写がとにかくリアルで、辛かった。
もしもそうだったならとんな気持ちで書いていたのかと思うと胸が詰まる。
主人公茉莉の日常は、淡々と過ぎていきます。
余命がわかっているからこそ、1日1日を大切に、というよりも、死ぬ時期が決まっているからこその苛立ち、焦燥が描かれています。時間のなさ、生きてあげられない辛さ、一つ一つの思いがトゲのように刺さってきました。
そして社会から切り離されたような気持ちになる…、そこに焦燥があり、つい周りを妬んでしまう描写がリアルに描かれます。
辛い描写も所々ありますが、基本的には日常を描いたものです。
日常の積み重ねの中で人を好きになり、恋の楽しさ、喜び、ときめきもあって、とても微笑ましい場面もあります。日常を大切に描いているので、ラストまで読むと、その一つ一つの場面が愛おしくなる。
洋服作りや漫画の製作など、自分のしたいことも楽しんでいる描写があるので、あるところまではさほど重いとも思わないで読み進めることができました。
死に向かう描写がリアルになるほど重くなり、死を知らない人に想像のつかない孤独と苦しみが描かれていきます。
こういう系統には慣れたと思っていましたが…。
感情の流れが激しく揺れる描写に、涙が溢れてきて止められなくなりました。電車で読みきらなくてよかった…。
茉莉ちゃんが普通の優しい女の子だからこそ、とても切なかった。
気持ちが落ち着かないまま、この文章を書きました。なんでもない日常、大好きな人の笑顔がそばにあること、美味しいものが食べられること、夢に向かって進める時間があること、自分を大切にしたいと思いました。
亡くなった作者の残したこの一冊、私にとって大切な一冊になりました。
- レビュー投稿日
- 2018年10月8日
- 読了日
- 2018年10月8日
- 本棚登録日
- 2018年10月2日