夜と霧 新版

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本棚登録 : 8924
レビュー : 1065
制作 : 池田 香代子 
ahuksunさん お気に入り   読み終わった 

今まで読んでこなかったのを悔やむくらい感銘を受けた。
難しそう、というイメージをぬぐって思い切って読んでよかった。

アウシュビッツなどの収容所で行われていたこと、それを知るということそのものも必要かもしれないが、この本はもっと深いところ、人間や心について書かれている。

人間とは何なのか、生きるとは、苦しむことの意味は…。
さまざまなことを考えさせられる。

ハッキリ言って簡単な本ではないと思う。
前半部分は収容所内の出来事が描かれているので、具体的で読みやすいと思うが、後半になってくると、精神論、哲学、生きること、苦しむことといった、内面の話が多くなってくる。
何度も何度も繰り返して読み取りたい内容だった。

どのような環境にいるかよりも、その環境でどのような覚悟をするか、そういったことの重要性を教えてくれる。
生きる、ということの中には様々なものが含まれている。
苦しむばかりの人生を送っている人であっても、その苦しみを受け止めることそのものが生きること、こういう考えはとても大切だと思う。
今の世の中、ストレスをいかに軽減するか、いかに平和な心でいるかが重要視されている。
でも、苦しみしかなくて、生きる意味を考えずにはおけないような状況の人たちもいると思う。

どのような状況にあっても人の生に意味はある。
苦境を苦しみぬくだけの人生でも。

極限の状況で、人間としての扱いを受けなかった経験が、筆者の意見に説得性を持たせているし、その中で目にした人間の姿、心の動きは、日常を悠々自適に暮らす我々では感じにくい、本質的な人の姿が垣間見える。

状況的には私達とは遠いところにあるけれど、こういった本質的なことを思考することで、生きる上での基盤は築かれると思う。
仕事や恋愛、家庭といった、ごく一般の生活の中でも、生きる意味を見失う人にも、この本に示されていることをよく理解することで、なにか生きるヒントは生まれると思う。
人に求められるから、希望があるから生きるのではなく、目の前のものがどんなものでも、それを受け止めていくことそのものが生きること。

ほんとうに貴重な体験から生まれた本。
そして、生きる人すべてに通じる普遍性がある本だと思う。

レビュー投稿日
2017年10月17日
読了日
2017年10月17日
本棚登録日
2017年10月17日
11
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