絲山秋子さんの作品は「沖で待つ」「ラジ&ピース」を読みました。
「沖で待つ」は芥川賞作品です。
これも短く読みやすかったです。
赤城山、高崎、前橋と群馬県の地名が出てきます。
「ラジ&ピース」も舞台は群馬県でした。
ヒデという20歳過ぎの男と額子という27歳の女の二人が中心です。
「ガクコさんてどんな字書くの」と聞かれて額子は「額田王の額」と答えますが、ヒデは額田王を知りません。
19歳からの2年間ヒデはあまり大学に通わずに額子に狂っていました。
そして結婚が決まった額子に捨てられてしまいます。
その後、ヒデにはネユキという新しい恋人ができますが、ネユキは宗教にのめり込んでしまい、ヒデと言葉が通じなくなってしまいます。
ネユキはその後、その宗教団体の中の殺人事件で逮捕されてしまいます。
このことでヒデはショックを受けます。
大学を1年遅れて卒業したヒデは就職します。
ヒデは28歳になったころ、私立中学の教師をしている翔子という恋人ができます。
ヒデは酒浸りになり、翔子の両親はヒデと翔子の結婚に反対します。
ヒデと同棲していた翔子は出ていきます。
ヒデは飲酒運転で事故を起こし、免許を取り上げられてしまいます。
このあとはヒデの更生物語です。
依存症から抜けるために断酒会に参加したりもします。
結婚していた額子が夫の運転する車の事故で片腕を失い、その後は一人で暮らしているということをヒデは耳にします。
額子のいる尾瀬付近の山里をヒデは訪ねます。
まだ35歳くらいなのに白髪になった額子を見てびっくりします。
額子は通信制の大学で勉強したいといいます。
蜻蛉日記や更級日記など1000年も残るような文学を読みたいと言います。
「ばかもの」という題名ですが、このせりふが最初と最後で巧みに使われています。
読後感の良い作品でした。
- 感想投稿日 : 2009年9月12日
- 本棚登録日 : 2009年9月12日
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