淫売婦

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  • 2012年9月27日発売
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感想 : 4
4

戦前の労働者階級の悲愴が、よくよく伝わってくる作品。
葉山は、この作品の体験は、事実なのか幻想なのか、どちらなのか言い切れないと前置きしている。
その体験とは...。

横浜の港町で、お金を払えば楽しいモノを見せてやると、男たちから声をかけられる。
前金で払い後についていくと、そこには全裸の若い女の姿があった。

性的に観賞でも、どうにでもして下さいという状況であるが、その女は悪臭を放ち、肢部は癌種持ちのようで病んでいる。
働き口は無く、もう最後の最後の手段で、貞操を売っているのだろう。
不憫な女を食い物にしている、自分を連れてきた男たちに、義憤を感じ怒りの矛先を向けるのだが、その女の実情は、そうでもないようで...。

今の時代でも、そういった星のもとに生まれてしまった人はいるにはいるが、こんなにも悲惨ではないと思う。
この作品の女は、這い上がるチャンスさえない。
面倒をみている男たちも同じこと。

葉山が冒頭で、事実か幻想なのかと判断できないのは、見たものの衝撃が強すぎた為か。

「私は淫売婦の代りに殉職者を見た。彼女は、被搾取階級の一切の運命を象徴しているように見えた。」

これが彼女の職責なのか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  ♪は行 作家
感想投稿日 : 2015年4月19日
読了日 : 2015年4月19日
本棚登録日 : 2015年4月19日

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