山のクリスマス (岩波の子どもの本)

  • 岩波書店 (1953年12月10日発売)
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本棚登録 : 90
感想 : 9

マドレーヌ、でお馴染みのべーメルマンの、マドレーヌの前に岩波の一番初めの絵本シリーズとして翻訳されたものですが、レベルはマドレーヌよりはるかに上で、これは極上品の一冊です。
これを選んだ光吉夏弥にはただただ敬服するしかありません。
生まれて初めてお母さんと離れて山の上のおじさんの家でクリスマスのお休みを過ごすことになった一年生、ハンスの二週間を描いた、ほぼ何も起こらない地味〜な話なのですが、一つ一つがとても深いのです。
今の大人が読むにはちょっと心を落ち着けて、静か〜に深呼吸し、少々自分のネジをゆるめてやらないとこの世界には入れないかもしれません。
でもいま読むと子どものときには気がつかなかったことにもいろいろ気づけます。
この家にはお父さんがいないんだ、とか、お母さんが屋台の果物屋をやって暮らしを支えているんだ、とか、すごく大人のおばさんだと思ってたけど、ハンスのお母さんて、もしかしてまだ20代?
とか……。
自分の名前を金文字でいれた白いカップでコーヒーを飲んでいて、それがものすごくカッコよかったんですよね。

この30年、使えなくなっていた本なんですが、いまの新一年生には響くと思います。その下の子どもたちにも……一年生にあがってくれば……。

彼らは本物、に反応してくれ、深いところまで受け取ってくれます。
なので司書は読んでおいてください。

2020/12/25 更新

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 【連載】今日の一冊
感想投稿日 : 2020年12月15日
本棚登録日 : 2020年12月25日

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