ドリトル先生と秘密の湖 新訳 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2024年10月25日発売)
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感想 : 3

「ドリトル先生と秘密の湖」
の新訳が出たので、ちょっと書きたくなりました。
というのも、これは凄く面白いのですが、私の“ひとさまにはお勧めできない本棚”のなかの一冊だからです。
なにせ分厚い!
ドリトル先生シリーズのなかでも群を抜いて厚い上に、中身は、二千年生きているカメのドロンコじいさんの昔語りだからです。
ノアの箱舟に始まり、二千年前に起きた戦争を、ドロンコは、いま、目の前で起きているように生き生きと語ります……。
その手腕は素晴らしく、本当にロフティングは生まれながらのストーリーテラーだったのだな、と思います。が、子どもにはおそらく退屈でしょう。
特に今のような短い文章に慣れてしまっていると……。

でも

ロフティングがこれを書いていたのは第二次大戦後から第二次大戦が終わるまで、で、ロフティングはイギリス人には珍しく、戦争反対の人でした。
なのでこの大戦争の物語はそのまま第二次世界大戦だとたぶん思っていい……。
ロフティングに聞くことはできませんが。

そうしてドロンコはいうのです。
戦いは無意味だ、すべてが滅びた、しかし、カメのドロンコは生きている!
と……。

そう思うと、いま、2024年の12月に、いまだにあちこちの戦争が終わらない今現在に大人が読むのなら(もちろん広い日本には何人かこの物語を面白い、と思う子たちが4、5人はいると思いますが)この本は現実味を帯びる、と思います。
リアルタイムの時とはまた別の意味で。

物語好きで、まだお読みになっていないかたにはお勧めです。
できれば、何もしなくていい半日と、たっぷりと紅茶かコーヒーかワイン、とつまみを用意して。

2025/01/08 更新

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 【連載】今日の一冊
感想投稿日 : 2025年1月5日
本棚登録日 : 2025年1月8日

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