烏に単は似合わない  八咫烏シリーズ 1 (文春文庫)

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本棚登録 : 3662
レビュー : 470
著者 :
赤木かん子【公式】さん 【連載】今日の一冊   未設定

本日は、Meiさん(中学一年生)から頂いた「本の紹介」です。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

Meiの本紹介
『烏に単は似合わない』著:阿部智里

出版:文藝春秋

八咫烏の支配する世界で世継ぎである若宮の后選びが始まった。大貴族四家から遣わされた四人の后候補。それぞれ魅力的な姫たちが后の座を競う中、事件が起こる……。

何年か前に友人に勧められたこの本を、先日ふと思い出して読んでみた。結末に唖然。驚きすぎて誰かに語りまくりたい気分なのでここに書いてみる。

結末での裏切りも凄かったが、最初に読んでみて思うのは世界観の壮大さ……。本当にこの世界はあるかもしれないと考えてしまうような細部まで固められた設定、自分がそこにいるような感覚を覚える時間の流れや風景の表現。圧倒されるし、妄想も膨らむ。姫たちの見た目も想像しやすくて映画を見ているような感覚だ。次へ次へとページをめくる手が止まらない。途中で雰囲気が、がらりとかわるように感じるところも最後の最後まで読むとピンと張られた一本の糸のように納得できるのもいい。

正直に言うと後味が良いとは言い難い。恋愛ものだと思っていた話がミステリーだった時の裏切られた感。純真無垢な姫、あせびをヒロインだと信じていたのに実は極悪人だった時のしてやられた感。若宮の酷で賢い謎解きの時間を読んだ時の複雑な気持ち。あせびが本当に無垢だったと気付いた時の恐怖……。後味が良くない理由は、ほかにも沢山出てくる。でも、それが面白いと感じる自分もいる。

半分くらいまでは、女たちの愛憎劇。とは言っても肝心の男・若宮がちゃんと顔をみせるのは最後の謎解きの時くらい。それでも、充分どろどろしている。女の習性や考え方がうまく書かれていると思う。もちろん女の魅力も。最後に現れて、姫たちに真実を突き付ける若宮もいい性格をしている。賢く冷静だが、その賢さ故に人ではない恐ろしさも持っているように感じる。そんな彼の妻になったのは本当のヒロイン。大貴族ではなくなった彼女は若宮にお似合いだと言えるかっこよさと賢さを兼ね備えた美女だ。若宮に求婚された時の彼女の返し方に賢さと可愛らしさが表れていて、ときめいた。序章を読んで、すっかり若宮はあせびのことが好きなのだと勘違いしていたから本物のヒロインにときめいてしまうのも、してやられた感じがする。

恋愛ものとしての結末にも驚愕だが、ミステリーの結末にはまだ解けきらない謎もある。それもあって、後味が悪いと感じるのかもしれない。続きもあるようだからそちらもいつか読んでみたいが、それは衝撃の結末に心が落ち着いてからにしようと思う。

2020/01/31 更新

レビュー投稿日
2020年1月30日
本棚登録日
2020年1月31日
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