カメラにうつらなかった真実 3人の写真家が見た日系人収容所

  • 徳間書店 (2022年12月17日発売)
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感想 : 13

アメリカの日本人捕虜収容所の新しい本であると同時に、これは新しい視点の本でもあります。
カメラは真実を撮す、と信じている人もいますが、カメラマンたちは、必ずしも真実を写すわけではない、ということを知っているでしょう。
ここには3人のカメラマンが登場します。
日本人捕虜収容所に反対していたドロシア・ラング……。
収容されていた、宮武東洋……。
そうして、解放された日本人たちが酷い目に合うのを心配した所長に頼まれたアンセル・アダムス……。
アダムスは収容所に反対はしていませんでした。そうして合衆国に忠誠を誓い、解放された日本人たちだけを撮りました。
彼は彼なりに、日本人は平和で穏やかで我慢強く、アメリカに敵対しない市民だ、ということを印象づけ、彼らを助けたいと思ったのです。
でも、そういうわけで、この余所者に、みんなは苦しみや悲しみは見せませんでした。

さあ、そのどれが真実なのか!?

という新しい問いをこの本は投げてくれました。
それだけ時がたち、風化したのだ、ともいえるし、ようやく真実を語れるときがきたのだ、ともいえるでしょう。もうそろそろ80年、たつのです。
著者のなかには日系4世の人たちもいます。
そうして、当時、軍部の検閲によって非公開だった写真が、いまはアーカイブで公開されているのも凄いことです。
それは、これは公開できない、と思った写真も、廃棄されることなく保存されてきた、ということを意味しているからです。そういう写真が、いまはスマホで即座に日本にいながらにして見ることができる!
のです。

そうしてこの本自体も、差別と戦い、市民権を守り、民主主義を守ろうと思う人たちがアメリカ大陸にいるという証です。

学校は買い!
でしょう。

2023/03/15 更新

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 【連載】今日の一冊
感想投稿日 : 2023年3月12日
本棚登録日 : 2023年3月15日

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