バスラの図書館員―イラクで本当にあった話

  • 晶文社 (2006年4月10日発売)
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感想 : 76

今年の小学校一年生に読んでやりたい絵本50冊
その30
「バスラの図書館員」

2003年のイラク戦争のときの話です。
バスラの街にも空襲が始まりそうになり、図書館で働いていた司書のアリア・バクルさんは本を避難させるように役所にお願いしましたが、にべもなく却下されました。
しかたなくアリアさんは本を毎晩自宅へ運び、空襲が始まると、隣のレストランの人たちや商店街の(つまり一般市民ですね)人たちに頼んで3万冊の本を避難させました。
館長その他、偉い人たちはみんな逃げ出したそうです。図書館はそのあと、焼けてしまいました。
あまり知られていませんが、中近東は図書館のメッカの一つです。
いま日本に入ってくる知識はヨーロッパのものなので、イスラム圏は皆無に近い、といっていいのですが、イスラムの図書館の歴史は長く、13世紀には公共図書館が始められていました。
アリアさんが救い出した本の中には13世紀のコーランなどの貴重書がたくさん入っていたそうです。
これも日本ではニュースになりませんでしたが、バクダッドの国立図書館もかなりひどいありさまだそうです。
アリアさんの話はアメリカの新聞にのり、有名になり、絵本になりました(その爆弾落としたのもアメリカなんですが)。

戦争になればこういうことが毎回起こります。
文化財が破壊され、焼かれ、略奪され……。

一年生は、この“本当に起こった話”を真剣にきいてくれ、ショックを受け、アリアさんを尊敬してくれます。

バスラの図書館はアリアさんの3万冊の本をもとにその後再建され、アリアさんは館長に就任しました。

今回はおまけを2つつけておきます。
一つはイラクのとしょかについての簡単なレポート
https://current.ndl.go.jp/ca1522

もう一つは男性作家が描いた
「アリーヤさんの大作戦」
こちらはマンガ形式に近いので読み聞かせにはあまり向かず、どちらかというと一人で読む本、でしょうが、同じ話を違う本で読むと、なんというか、隙間が埋まる感じがします。
こちらも魅力的な一冊です。
https://www.amazon.co.jp/3%E4%B8%87%E5%86%8A%E3%81%AE%E6%9C%AC%E3%82%92%E6%95%91%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A4%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E5%A4%A7%E4%BD%9C%E6%88%A6%E2%80%95%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E5%93%A1%E3%81%AE%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AE%E3%81%8A%E8%A9%B1-%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%B3-%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC/dp/4336056250

2022/07/13 更新

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 【連載】今日の一冊
感想投稿日 : 2022年7月10日
本棚登録日 : 2022年7月13日

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