じぶんを切りひらくアート ─違和感がかたちになるとき

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レビュー : 7
akaneirosoraさん デザイン・アート   読み終わった 

8人のアーティストの模索の過程をたどるインタビュー集。

アートは世界をどう見てるか、どう対峙するか。
何を美しいと思い、違和感に思うのか。表現しなくてはいけない切実さに出会い、それを自分の表現にしていく。

そこにどんな風に行き着くんだろうなぁ・・?と、思っていた。
作品として見えているものの奥にある世界を見ることができて、面白かったな。
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写真を撮ることを、世界を切り取るという言い方をする人がいますが、僕には違和感があります。
自分のちっぽけな美意識で、主観的に切り取った写真は、目の前の世界を矮小化させるだけで、世界そのものの強さが写らない。
僕は自分から切り取るのではなく、世界を受け止めるように撮りだいんです。(石川直樹)

彼らが、アーティストになるきっかけは、先人のアーティストやアート作品ではなかった。では、人や作品との出会いに代わるもは何か。それは違和感である。
彼/彼女たちは各々何らかの違和感を成長の過程で感じ、それが表現することのトリガーになっている。その違和感とは、学校や社会の仕組みに対してだったり、自分自身の身体に対してだったり、日本の外と内とのアートの在り方だったり。
何であれ、目に映ったり、人から伝えられた現実とはひとつの価値観の総体であり、真実ではないということの気づきが違和感を生み、彼/彼女らをドライブしている。

そして、その違和感を日常生活や社会の常識の中に埋没させてしまうのではなく、むしろそれ自体を表現を通して、徹底して追求する。さらに、そこから生まれた表現を、自分個人の殻に閉じ込めてしまうのではなく、自分の外の世界との接触によって客観化し、また他者に対して、問うていこうとする。それがゆえに、表現はたえず他者を巻き込んでゆく。その過程で、無意識であれ意識的であれ、摩擦が発生し、他者を侵害することもあるだろう。
しかし、それでもなお、自分の表現を通じて他者との共感の可能性を模索しているのだ。そこにはいくつもの挑戦や試みだけがある。

レビュー投稿日
2011年8月21日
読了日
2011年8月21日
本棚登録日
2011年8月21日
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