無限の網――草間彌生自伝

  • 作品社 (2003年3月31日発売)
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感想 : 30
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 2012年のベスト10に入るんじゃないだろうかってくらいよかった。。

 「ああ、あの水玉の変わったおばちゃんね」と、アートに全く関心のない母でさえ、草間彌生を知っている。直島に浮かぶかぼちゃの前で写真を撮る人々は、その水玉の表現の由縁は思いもよらないのだろうなと思う。

 大学卒業後、アメリカで前衛的な現代アーティストとして創作。
 ヒッピーの女王と呼ばれ、クサマ・ハプニングというパフォーマンスを展開。それは男女が公の場で集団で裸になって、ボディペインティングして、セックスを公共の場で行ったり・・するもの。日本では、その思想を理解されることなく、出来事だけを見て、国の恥と言われていた。

 怖くて怖くて仕方がない。
 だからセックスを扱う。
 幼いころから水玉に自分が飲み込まれる幻覚を観たり、人と触れるということが怖かったりと、草間彌生が表現してきたものは、恐怖となるもの。
 恐怖を乗り越えるために、徹底的に直視して、表現する。
 圧倒的な苦しさから生まれる表現、生きるために表現する。
 
 草間彌生、大好きになったー。

 それにしても、トリエンナーレの水玉のトヨタ車とかどう思っているんだろ。。
 今、83歳。
 今が一番楽しい、表現したいものはとめどなく出てくるからちっとも困らないらしい。
 命の灯が消えるまで、表現し続けてほしいと思う。
 
 すごい、83歳だ。。

 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: デザイン・アート
感想投稿日 : 2012年7月13日
読了日 : 2012年7月13日
本棚登録日 : 2012年7月10日

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