友人が「舞城王太郎って一度読んだことあるけど、ひどいよあれ」と結構前に話していた印象が強すぎて、また、手にとってぱらぱらめくってみるとどうにも痛そうな(身体感覚として)表現が多く、敬遠していた。でも、初めて読んだ舞城王太郎のこの作品は、素晴らしい。
これはまぎれもない愛の物語だ。いくつかのストーリーに分断されているようでいて、しかしひとつの終わりに向かって、筆者はゆるぎない意志と信念をもって突き進む。
愛する者を失った悲しみを描いた物語は世の中に掃いて捨てるほどあって、そのどれもが使い古された表現でもって陳腐な感傷を繰り返しているに過ぎないけど、この作品は違うと思う。
強い愛。
愛は祈りだ。
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- 感想投稿日 : 2004年9月30日
- 本棚登録日 : 2004年9月30日
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