われは熊楠

  • 文藝春秋 (2024年5月15日発売)
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南方熊楠

博物学者、生物学者、民俗学者
昭和天皇への進講を行った人物
他言語を操り、数々の論文を学術誌に発表

何やらものすごい人だ
恥ずかしながら、今まで知らなかった…(・・;)

そんな熊楠さんの、15歳から74歳で亡くなるまでの人生を描いた壮大な物語




「我は我のことが知りたいのや」
「我は、この世のすべてを知り尽くしたい」

そんな熱い想いから、日々研究に没頭する熊楠。
商家に生まれながら学問をやらせてもらい、アメリカ留学にも行かせてもらう。

熊楠がずば抜けた能力を持っている事も確かだが、やはり金銭面でも恵まれた環境だったのかなと思う。
父が亡くなってから、金銭面は弟に頼る。
研究者というのは稼げないくせにお金はかかるようだ。
当たり前のように生活費の面倒を弟に頼る熊楠に、なんだか腹が立つ。

研究所設立のための出資を巡って弟と諍いになり、もうこれ以上は出せないと言われる。
これまで何十年も金を工面してもらいながら、寄付金を約束通り出せ、月々の金はどうしたとか、偉そうに請求している熊楠が腹立たしい。

弟に出してもらった生活費で酒を飲み、酔っ払って暴れるとか、本当に嫌だ。
主人公の熊楠には全く寄り添えないと思っていたけど、ここから晩年の人生には胸がいっぱいになり、夢中で読み進めることになった。


南方熊楠という人物はあまりにも大きすぎて、理解しきれない部分があった。
しかし岩井さんの文章には、ものすごい力があって圧倒されるばかり。
読み終えてもなお、この世界から抜け出せない。



──いずれ必ず訪れたい場所──
熊楠が1903年から約一年半、隠花植物を採集する為に滞在した那智・熊野古道(世界遺産)



※追記
上記はあくまでも私アオイの感想です。
この本の中で熊楠さんは、自分の行動や発言について常に自問自答しています。
家族のことも愛しています。
実際に妻と娘は最後まで研究を手伝っているし、熊楠を支援している仲間もいます。

皆さん、熊楠さんを嫌いにならないでね(⁠ ⁠◜⁠‿⁠◝⁠ ⁠)⁠

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2024年8月31日
読了日 : 2024年8月31日
本棚登録日 : 2024年8月31日

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コメント 18件

土瓶さんのコメント
2024/08/31

常軌を逸するほどの収集癖、知識欲の権化のような怪人物だったという認識です。
なんていうか善悪を超越した魅力を持つ人物ですね。
読んでみたいな。

1Q84O1さんのコメント
2024/08/31

すごーい人なんでしょうけど、何だか嫌かも…w
どんな人かは知りませんせんが…

aoi-soraさんのコメント
2024/08/31

土瓶さん
確かに知識欲はものすごいです
「学問は、なんと快いもんじゃ」と心からつぶやいてますから
南方熊楠という人に興味がわきました!

aoi-soraさんのコメント
2024/08/31

一休さん
「あたり前のようにお金の工面をしてもらってる」って、嫌な感じに感想を書いたから、偏見を持ったかもしれませんが^^;
なんせ私は熊楠さんのことを初めて知ったので、間違った認識かもしれません
う〜ん
でもやっぱり熊楠さんには寄り添えないかも…

かなさんのコメント
2024/09/01

aoi-soraさん、おはようございます。
私はこの作品、熊楠の才能は認めるけれど
その人となりがねぇ…
家族がとっても大変ですよねぇ…。

aoi-soraさんのコメント
2024/09/01

かなさん
本当に家族は大変ですね
それでも晩年、奥さんと娘さんは研究を手伝っていたんですよね

私、レビューに腹が立つとか書いちゃったけど^^;
熊楠さんも頭の中では分かっているんですよね
家族の事も大切に思っているようだし
死ぬ間際まで研究を続けて…
それにしても凄い人ですね

1Q84O1さんのコメント
2024/09/01

aoiさん

もう、手遅れです!
aoiさんのレビューで私の頭の中には、熊楠さん嫌な人とインプットされました〜w

aoi-soraさんのコメント
2024/09/01

一休さん
熊楠さんも家族のことは愛していました!
良いところもあるんです!

もう遅い!?(*ノω・*)

1Q84O1さんのコメント
2024/09/01

aoiさん

わかってるじゃないですか
もう遅いです!w

土瓶さんのコメント
2024/09/01

捉われた情熱が大きすぎるといろいろと破綻しちゃうんだろーね。
目的のためにはなにを犠牲にしてもっ!! みたいな。
「月と六ペンス」のおっさんもそうだった。

aoi-soraさんのコメント
2024/09/01

情熱が大きすぎる…
そうかもしれませんね
土瓶さん、ありがとう

kuma0504さんのコメント
2024/09/03

多分、熊楠記念館に行けば、そういう周りに迷惑をかける人間っていう「基準」を吹っ飛ばすぐらいの魅力に圧倒されるのだろうけど、多分行けないだろうから、図書館で熊楠のムック(「太陽」ぐらいがやってたかな)をパラパラとめくるだけで、そのノートやコレクションに圧倒されると思います。熊楠曼荼羅の森の中を彷徨いたくなる。

aoi-soraさんのコメント
2024/09/03

くまさん
良きアドバイスをありがとうございます(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)
記念館は和歌山ですよね
なかなか行けないと思うので、図書館でその本を探してみたいです
大阪大学に熊楠の脳が保存されている事にも驚きましたし(ひまさんレビューより)、これを機に南方熊楠についてもう少し知りたいと思いました

どんぐりさんのコメント
2024/09/08

私もこの方よく知らないけど、この本は読みたいです♪( ´θ`)ノ

shintak5555さんのコメント
2024/10/06

遅ればせながら拝読して大っ嫌いになりました!*\(^o^)/*

aoi-soraさんのコメント
2024/10/06

今、私もコメントしちゃいました!

shintak5555さんのコメント
2024/10/06

白銀はおいおい登らせて頂きます!
山岳小説は大好物なので、今から★4つ以上を約束しときます!

aoi-soraさんのコメント
2024/10/06

お!星4つ確約!
楽しみにしております^⁠_⁠^

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