桃太郎

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本棚登録 : 110
レビュー : 22
著者 :
akikobbさん ざっくり古典   読み終わった 

桃太郎の話って、わりと時代によって、都合の良い英雄像で描かれてきたらしい、ということはなんとなく知っている。ので、これが正典桃太郎だ!というものはないだろうとは思う。
その上で、私が長らく「本物だ」と思ってきた昔ばなし桃太郎は、鬼ヶ島からやってきて乱暴狼藉をはたらく鬼を成敗するために、桃太郎が子分を連れて鬼退治に行くのでした。鬼は悪いやつ。
で、芥川の桃太郎は、降参した鬼に「こうなったのも全て、私たちが何か、あなた方のお気に障ることをしたせいだと思うのですが、その罪状は一体何なのでしょうか」と問われると、「ふむ。日本一の俺様が、鬼ヶ島を征服しようと思い、適した子分たちを手に入れたから、俺様は鬼ヶ島にやってきたのである」と答える。鬼ヶ島は椰子の繁る楽園で、平和を愛する鬼たちは、桃太郎一行が来るまでは頗る安穏に暮らしていたのです。
人質にとられて桃太郎に連れて帰られた鬼の子は桃太郎を憎み、成長したのち番人の雉を食い殺して逐電。故郷に戻り若き鬼たちを指導して、桃太郎たちの寝首をかくための襲撃を繰り返す。本国の若鬼たちは椰子の実爆弾の製作に励む。…という負の連鎖が始まったのでした。
古事記と手塚治虫の火の鳥とのダブルコンボを経た私としては、「祖国を悪から救った英雄の物語として小さい頃から親しんできたお話は、本当は政府が都合よく作り替えたデタラメだったのね…!」的なショックを、少なからず受けました。桃太郎自体が事実から生まれた話なのかどうかは知らないからこのショックはナンセンスかもしれないが、ニュースとか、このての情報操作はざらにあるんだろうなあ…と改めて思いました。

これが書かれたのは大正13年。韓国併合はとっくにとっくに終わっている頃で、侵略者としての日本(に限らないけど)に対する批判というか警告というか、そういうことなんですかね。この3年後に自殺。

レビュー投稿日
2014年2月15日
読了日
2014年2月15日
本棚登録日
2014年2月15日
3
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