素敵な作品に出会えました☆
著者は現役医師でもあり、小説家の夏川草介さん
夏川さんの人柄が本書を通して滲み出ていて、じわじわと温かく優しい気持ちになっていきます
医療に携わって来た二十年以上の経験をもとに、
京都の小さな地域病院を舞台とし、町の人と生きる本質に誠実に向き合う物語です
かつては大学病院で凄腕医師だった主人公のマチ先生
眩しく華やかに見えた世界から遠のき、余命の限られた患者のそばに黙々と足を運んでいる今の在り方に、隔世の感があります
しかし自分の腕に決して驕ることなく、今自分の目の前の人とその治らない病気にどうやって付き合って行くかを大事に考えている姿に、心を打たれました
またマチ先生の掴みどころがなく、大きく深い人柄、そして甘党という微笑ましい設定に癒されました
もうやめてくれ〜と言いたくなる程出て来る和菓子達(阿闍梨餅、長五郎、矢来餅、濃茶金平糖等)
何度あの味を口の中で想像した事か 笑
今も食べたい。。。
スピノザという哲学者は、この世界において人間は無力の存在であるとしつつ、だからこそ努力が必要だと説いた人物です
『病気が治らなくても、残された時間が短くても、人は幸せに過ごす事が出来る』という言葉が出てきます
それを知っている著者だからこそ、優しいまなざしで患者と向き合える話を描く事が出来るのでしょうね
読んで良かったと思えた作品です
続編がある事に期待しています
最後に一言
休日に関係なく毎日医療に携わってくださっている方々、感謝の念に堪えません
また一日の能登半島地震で亡くなられた方、心よりご冥福を祈ります
怪我された方、避難されている方、心よりお見舞い申し上げます
- 感想投稿日 : 2024年1月2日
- 読了日 : 2024年1月2日
- 本棚登録日 : 2024年1月2日
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