ホテル・ピーベリー<新装版> (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社 (2022年5月12日発売)
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本棚登録 : 4011
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主人公の恋愛や過去と向き合おうと葛藤する心の動きが話のメイン、そして時々ミステリー
日本人が経営する、リピーターを受け入れないハワイ島ヒロにあるホテル・ピーベリー
静かでのんびりとした生活の中、客の一人がホテルのプールで溺死、そして今度はもう一人がバイク事故死と続く
主人公にとってホテル・ピーベリーでの生活は、色々なしがらみを一度保留にして過ごすことが出来る場所だった
日本で問題を起こして教師をできなくなった自分、小学生の女の子に恋をしてしまった自分、仕事をせずに怠惰に過ごす自分、そして受け入れてくれる人がいないと嘆く自分
そんなすべてを一度眠らせて過ごす場所
まさにコールド・スリープ。。。
でもハワイに滞在することが解決するために必要だったわけではなかった

ラストでハワイに居る好きな人に対し、連絡をくださいと主人公が繰り返し伝える
誰かに受け入れてもらうことを何もせずに待つのではなく、自分自身が受け入れる側の人間になろうと考えた成長ぶりが伺えた
主人公に対して少々嫌悪感を持ちながら読んでいたので、そんな意味でラストは良かった
しかし一度日本に帰って4ヶ月後の事なのに、彼の帰国後の生活がどうなっているのかが描かれていない
もやもやが残った

この作品を読んでいると、ハワイ島に行って、美味しいコナコーヒーを飲みたくなる

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年3月21日
読了日 : 2023年3月21日
本棚登録日 : 2023年3月12日

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