霞が関残酷物語: さまよえる官僚たち (中公新書ラクレ 56)

  • 中央公論新社 (2002年7月1日発売)
3.26
  • (3)
  • (6)
  • (18)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 103
感想 : 7
3

おもしろかった。官僚の出世システムや内部事情についてはいろんな「暴露本」が出されていて、今更真新しい情報はそんなになかったけど、官僚の近年の不祥事をおさらいする目的で読みました。
挿入されているエピソードはどれもすごくおもしろいです。

特におもしろかったのが旧通産省であったという「4人組事件」。
なんでも若手の官僚が選挙に打って出るというので、箔つけのためだけに慣例を破って7年くらいすっ飛ばした重役職につけたため、省内ですったもんだがあって…うんぬんという話。
この時選挙に出るために官僚を辞しているのが、棚橋泰文自民党総裁候補「候補」。しかもこの人、父親は事務次官経験者だし、祖父も政治家という。なんとも華やかな…。

官僚の考え方については、次の言葉に要約できると思います。
「官僚は何か真新しいことを始めてみても、給料が増えるわけでも何でもない。それどころか余計な波風を立てたというので後々不利になる可能性の方がずっと高い。それならば何もしない。上から命じられたことを粛々とこなす。そうすれば早く帰れる。ただそれだけのことだ。」

大部分の官僚は普通の人で、できればやりがいのある仕事をやりたいと思っているんですけどね。
ただそうはいかないのが現状なんですよね。きっと。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 官公庁
感想投稿日 : 2008年9月9日
本棚登録日 : 2008年9月9日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする