去年の雪 (1)

  • KADOKAWA (2020年2月28日発売)
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冒頭、一人の男が事故で死ぬ。
そこから書き出すことができないくらいの人間、動物、幽霊が語り手になり、日常を語る。
様々な生き方や、許諾の範囲、他人に求めることの範囲の広さ、フツーというものの捉え方の多様さ、一人一人の生き方はこれから変化していったり、または全くと言えるくらい変わらなかったり、そんな生活の中で、世界は止まることなく変化し、重なった世界や時間はいくつもの揺れを生んで、不純で完成の程遠い完全さを保っている。魂はゆっくりと世界に溶けていく。
その様子が美しい文章で、日常に根差して織り上げられていくさまが本当に面白かった。
魂がどんどんと自由になっていく様が本当に素晴らしかった。何度か名前や関係性を書き出していこうかとも思ったけれど、結局それをせずに読み終わった。
ふわふわと、幽霊のようにひとびとの間を漂うような読み心地も、楽しかった。
再読したら、また違うんだろうな。楽しみだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: さまざまな生活
感想投稿日 : 2020年5月2日
読了日 : 2020年5月2日
本棚登録日 : 2020年5月2日

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