渋滞が発生する仕組みを科学した本です。
NHKの番組(爆笑問題のニッポンの教養)を文字起こししたものです。
渋滞学について一番わかりやすい入門本になっていると思います。
渋滞が発生する要因は、
・ 車間距離が40m以下
ちょっとのことでブレーキを踏んでしまい、それが後続車に伝搬する
・ 1台しか前を見ないで運転している
全体の流れが分からないので徐々に速度を調整できずブレーキを踏んでしまう
だそうです。では、何故車間距離が詰まるかというと、緩やかな上り坂に気が付かず速度が遅くなって詰まったり、トンネルでの速度ダウン、踏切手前の一時停止等々で要は速度を落とすからですね。
つまり、渋滞を起こさないためにはブレーキを踏まない、ブレーキを踏まないためには車間を空ける、車間を空けるためには3~4台先を見て流れをつかんで運転し、ちょっとずつ譲り合うことが大切とのことです。
★★★
それから、「行列待ち時間速算法」が載っていました。
10人並んでいる行列に自分が並びました。そこから1分間測るんです。で、自分が並んだあとの1分間に、自分の後ろに何人並ぶかを数える。そうですね、自分が来てから1分間に2人並んだとしましょう。すると、自分が着いてからサービスを受けるまで、10割る2であと5分。
式にすると、
待ち時間×人の到着率(人数/分)=待ち人数
なので、待ち時間が逆算できるというわけです。
ディズニーランドの行列も、食券チケット待ちも全部この式で行けるそうです。便利ですね。
★★★
さて、仕事で考えてみると「アジャイルを導入したんだけどイテレーションでやると決めたことが終わらなくて次のイテレーションに回されて結局全体として上手く進まない」なんてことありますよね。
あれも、渋滞なんじゃないかと思いました。とすると、イテレーション間には適度な間隔が必要で、全体の流れを見ている人も必要となります。
もっと大きく、プロジェクトもそう。ある製品のテストが終わったら間断なく次の製品のテストがやってくる。一見、効率的に思うけど、実は一歩引いてみると渋滞が起こっているかもしれません。
テストが終わったらテスト結果のレビューをして是正処置を取るという間をおいて次のテストに進んだ方が全体としては早く仕事が終わるのではないでしょうか。
本書は、「車、群衆、アリ、魚、お金、会議、漫才の笑」等々、様々な渋滞を取り上げて面白く解説しています。お勧めです。
- 感想投稿日 : 2012年4月30日
- 読了日 : 2010年10月20日
- 本棚登録日 : 2012年4月30日
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