小やぎのかんむり

著者 :
  • 講談社 (2016年4月26日発売)
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本棚登録 : 342
感想 : 51
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中学3年生の夏芽は、ケガの療養のために自宅にいる高圧的な父から逃げるために、山寺のサマーステイに参加することにした。そこには、ちょっと変わった(不真面目な?)住職と、その孫娘、修行中の若い僧侶がいたが、参加者は彼女一人だけだった。最初の晩、彼女は自分の布団の中に眠る子どもを発見する。それは、母親からここに隠れているように言われた5歳の男の子だった。彼らの奇妙な同居生活(サマーステイ?)が始まる。

話が進むにつれ、かわいいタイトルと表紙の写真からは想像もできない重い話が広がる。その重さが、田舎の美しい光景と人々のやさしさに晒され、癒されていく。

ユーモアを挿み込みながら心の痛みと向き合うところが市川朔久子らしい。

虐待されていた子どもが新しい環境にすぐに馴染んでしまったり、思春期の少女が、ただただ真面目に自分の罪と向き合ったり、……う~ん、ちょっとそれはあまり現実的じゃないでしょうと思われる点も散見しましたが、それでも、前を向いていきたい若者たちのエネルギーで読ませてしまいます。

難易度は高学年ですが、内容を考えると中学生で良いと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 児童書
感想投稿日 : 2017年12月3日
読了日 : 2017年12月3日
本棚登録日 : 2017年12月3日

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