満月の娘たち

  • 講談社 (2017年12月6日発売)
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本棚登録 : 162
感想 : 23
3

中学校1年生の志保は、親友の美月と美月の想い人日比野と3人で近所の空き家に肝試しに行ったところ警察に捕まってしまった。家主である繭に謝罪に行ったところ、幼なじみで同級生の祥吉と出くわし、彼が、ミニチュア作家である繭のファンでよく手伝っていることを知る。自由人の繭に興味を持った彼女は、それからも繭の家を訪ね親しくなっていく。あの空き家は繭の実家で、最低限の修理をして移り住むつもりだという。次第に実家へのこだわりを強めていく繭に志保たちは不安を感じていく。




*******ここからはネタバレ*******

母親に「何もかも足りない」と思われていると感じる志保。
娘は自分のキャリアと引き換えだったと思われている美月。
大家族で仲がいいけど、父親は失踪中の祥吉。
自分の自由を束縛されたのが嫌で吐いた暴言が、母に言った最後の言葉になり、亡母が悲しみのあまり空き家に留まっていると感じている繭。
思春期の親との葛藤を空き家を巡るエピソードを中心に描いていく。

親の愛が重い、ウザいと感じる年ごろの娘たちの言動に、母としては傷つきますが、身に覚えもあるので、文句も言えません。
この心理の掘り返しはとっても見事ですが、さりとてそう簡単に解決もしないので、この物語も空き家の崩壊で幕を閉じてしまいます。
きっとこの先にもいろんな葛藤があって大人になっていくんでしょうね。

空き家の幽霊の存在が、ちょっとこの物語をファンタジーにしていますが、かえって歯切れが悪くも感じました。
特に繭はもう大人なのに、母親の呪縛から逃れられていず、それが中学生たちの不安感を増大させる役割になったのではないかと思うからです。

児童書ですから、なんとか彼女だけでも、何となくではない親からの自立を希望として持たせてほしかったと感じます。

ウザい母親へのきつい切り替えしの言葉が載っているので、子どもには薦めたくないですね(笑)。←冗談です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 児童書
感想投稿日 : 2018年3月2日
読了日 : 2018年3月2日
本棚登録日 : 2018年3月2日

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