毒ガス開発の父ハーバー 愛国心を裏切られた科学者 (朝日選書 834)

著者 :
  • 朝日新聞社 (2007年11月9日発売)
3.83
  • (7)
  • (7)
  • (7)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 99
感想 : 14
3

近代化学の歴史。
化学という学問は本来工業と密接であるべきであり、
我々はもっと大きなスケールで試さなければいけない、とつくづく思う。

「科学に国境はない、だが科学者に祖国はある」
国策として何かのテーマが与えられたとき、それを解決する方法が人の道に背くとしても、
科学的根拠(ときに好奇心)に基づいて、それを遂行するのが天才(ときに罪人)なのかもしれない。

文中で複数回でてきた「早く戦争を終わらせるための兵器」。
科学は容易にその兵器を作ることができるし、その威力は年々増大している。
使い方を間違えば、技術は簡単に凶器になる。
しかしながら我々科学者は「発展に対する罪」を背負っている、凶器を恐れるばかり学問を滞らせることは許されない。
この相反する二つの感情をどうコントロールすればいいのだろう。

クリックひとつで人を殺せてしまう時代に、我々はなにをすべきか。
少しだけ考えてみた。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 学習書
感想投稿日 : 2009年1月19日
本棚登録日 : 2009年1月19日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする