敗者のゲーム―金融危機を超えて<原著第5版>

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レビュー : 38
制作 : 鹿毛 雄二 
aky302002さん みきまるさん株式投資本オールタイムベスト   読み終わった 

【みきまるさん株式投資本オールタイムベスト2017年版第14位】

著者のチャールズ・エリスは、資産運用を「敗者のゲーム」に例える。

テニスを引き合いに出すとわかりやすい。
プロのテニスプレーヤーは勝者のウイニングショットによって勝負が決まる
「勝者のゲーム」だが、
アマチュアのテニスは敗者のミスによって勝負が決まる「敗者のゲーム」であると。
つまりマーケットでも、そこで勝ち残る秘訣は、
競争相手よりも失点をできるだけ少なくしなければならないということだ。

とはいえ多くのプロがプレーするマーケットでは勝つことは非常に困難であるから、
マーケットを忠実に反映し、マーケットに負けることはあり得ない
インデックス・ファンドへの投資を推奨する。

「インデックス・ファンドは、面白くもおかしくもないが、とにかくワークする。」

同じインデックス・ファンドへの投資を奨める
マルキールの「ウォール街のランダムウォーカー」よりも格段に読みやすく、
文章も洗練されている。
ランダムウォーカーを読むくらいなら、本書の方が圧倒的にオススメだ。

以下、大トロ部分の抜粋。

「そもそも投資とはゼロ・サムゲーム以下の、
全体としてはマイナスとなるネガティブサム・ゲームだということを強調しておきたい」

「運用の歴史を見ると、市場が大底から回復する最初の一週間に、
株式リターンのかなりの部分が獲得できることは明らかである」

「投資家は、稲妻が輝く瞬間に市場に居合わせなければならないということだ。
相場のタイミングにかける投資は間違っており、決して考えてはならない」

「投資がエキサイティングになってきたら、何かが変だと思う必要がある。
ほとんどの投資家にとって、面白そうに見えるものは無視する方が良い」
→ビットコインバブル(2017〜)

「投資で成功するうえでの最大の課題は、頭を使うことではなく、
感情をコントロールすることである」

「インデックス・ファンドの議論は英米・日本の大型株市場など
最も効率的な市場でよりあてはまるものである」

「言い換えれば、効率性の落ちる市場においては
逆にアクティブ運用が勝てる可能性も出てくる」

「普通株の短期保有は投資ではなく、投機でしかない」

「長期のおいては株式のリスクは種々の投資商品の中で最も低いが、
短期においては逆にリスクが最も高い」

「投資家にとって、短期のマーケット・リスクに対する最適な対策とは、
足元の価格変動を一切無視して長期投資家になりきることである」

「運用における誤った行動は、ほとんどの場合、投資家自身の目的がはっきりせず、
証券市場や投資そのものについての理解が不十分であることから引き起こされる」

「株式相場の下落は、安く買うための第一歩」

「投資家はミスター・マーケットのもたらす魅力的な株価のダンスを
全く無視するべきなのだ」

「高齢のパイロットや、向こう見ずなパイロットはいるが、
向こう見ずなのに長生きしたパイロットはいない」

個人投資家のための十戒

1.貯蓄すること。そして貯蓄したものを、将来の幸せと安定、
子供のために投資すること。

2.相場の先行きに賭けてはいけない。もしも相場を見ながら売買をしようというなら、
あなたはプロを相手にしていることを自覚すべきだ。

5.商品取引は考えものだ。

6.証券会社の担当の人に気をつけなさい。

7.いわゆる新金融商品に投資してはならない。

8.債券は、長期運用にとって真のリスクであるインフレに弱い。

9.長期の投資目的と投資方針、資産計画を文書にして書き出し、
それに沿って行動すること。

10.直感を信じて投資してはいけない。

「2008年の金融危機を引き起こした原因を考えるとき、『リスクは今やコントロール下にあり、今回は違うのだから心配しなくてよい』と多くの人が考えるようになったことが最大のリスク要因だったと言ってよいだろう」


「2008年の金融危機は本当に悔しい。
とはいえ、本書の基本的メッセージを改めて考え直してみたとき、
ベンジャミン・グレアムとデビッド・ドットが古典的名著『証券分析』
の中で指摘している、
『長期投資家は、直近の経験から影響を受けすぎないように注意すべきだ』
という思想に突き当たる」

「世界最高の資産家の二人は、子供にはあまり残さないと決めている。
ウォーレン・バフェットは言う。『子供に残す理想的な金額は、それでしたいと思うことをなんでもできる額であり、何もしなくてもよい、と思わせてはいけない』」
「バフェットの友人、ビル・ゲイツも同意見だ。『私が財産を社会にお返しし、
子供にはその一部しか残すべきでないと考える理由の一つは、
それが子供たちにとってよいことだと思うからだ。
彼らだって働きに出て、社会に貢献すべきなのだ。
それが充実した人生を送る重要な要素だと思う』」
→リバモアはこれができなかった。それが破滅につながった。

■終章 敗者のゲームに勝つために

「アクティブ運用に勝つ唯一の方法は、他の投資家のミスに、
相手よりも素早く乗じることである。投資とは敗者のゲームなのである」

「幸いなことに、個人投資家はプロの投資家に勝つ必要はない。
マーケットに勝たなくとも、投資に成功することはできる。
マーケットに勝つことばかりに気を取られていては、
自分自身に最適な長期投資を行うという、
もっとも重要な目的がおろそかになってしまう」

「投資は単純である。しかし、単純なことを実行するのが難しい」(バフェット)
※医学界において最先端を走る私の二人の友人は、医学におけるこれまでの最大の発見はペニシリンと、まめに手を洗うことだと言っている。優れたアドバイスは必ずしも複雑である必要はない。

投資家としての責任を果たすうえで、必要な資質は次の三つである。

・自分自身の長期的な目的や利益を掘り下げて理解しようとする意欲。

・ミスター・マーケットの誘惑などを含めた、資本市場と投資に関する基本的な理解

・自分の投資目的に見合った投資政策を決定し、それを堅持する自己規律の精神である。

これこそが本書の主張である。

レビュー投稿日
2017年12月21日
読了日
2017年12月21日
本棚登録日
2017年12月15日
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