協力と罰の生物学 (岩波科学ライブラリー)

著者 :
  • 岩波書店 (2014年5月23日発売)
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感想 : 19

アリやハチといった社会性昆虫は、自らは子孫を残さないワーカーが群れの大部分を占める。自分の遺伝子を次世代に伝えることが生物の究極の目的だとすれば、子を作らずに働くワーカーって「変」だ。ダーウィンも悩んだらしい。
本書は、上記の謎解きから、ルールを破るもの、フリーライダーに対する罰の効果までをまとめてくれる。実例が豊富でわかりやすい。むしろ豊富すぎて個別の例に気を取られ、俯瞰的な見識を形成するのが難しいかもしれない。
いずれにしてもこの分野の入門書としてはよくできてて、じゃあ血縁によらない人間社会の協力関係は? とか、ぼくたちが倫理観、道徳観として捉えている感覚は、ひょっとしたら生き残りのための本能に根ざしているの? とかいろいろ考える。読んでで疑問が発展してくるのが科学啓蒙書の醍醐味だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自然・科学
感想投稿日 : 2017年3月13日
読了日 : 2017年2月15日
本棚登録日 : 2017年2月15日

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