クリエイティブな課題解決のための思考法、デザイン思考についての本。世界的デザインコンサルティング会社IDEOのCEOが著者。どうも海外のビジネス書はまとめにくい本が多い。こういう本は短時間で繰り返し読んだ方が内容が入ってきそうかな。実例は豊富で、デザイン思考の雰囲気はつかめそう。デザイン思考って一言で言い表せるものではなく、発散的思考や人間中心のアプローチなどの、デザイナーによく見られる思考様式をまとめたものと感じられた。
 以下、メモ。
■概要
・イノベーションは3つの連続体の空間から成る。反復的、非直線的にアプローチする
- 着想(インスピレーション): ソリューションを探り出すきっかけになる問題や機会
- 発案(アイディエーション): アイデアを創造、構築、検証する
- 実現(インプレメンテーション): アイデアを市場へ導入する
・3つの制約を受け入れ、バランスをとる
- 技術的実現性(フィーザビリティ): 技術的に実現できるか
- 経済的実現性(ヴァイアビリティ): 持続可能なビジネスモデルの一部になるか
- 有用性(デザイアラビリティ): 合理的で役立つか
■組織へのデザイン思考の適用
・デザイン思考家をプロセスのスタートから関与させる(発散的思考から始める)
・人間中心のアプローチ(行動の観察、感情的価値)
・早めに何度も失敗する
・極端な価値観を持つ人の手を借りる
・インスピレーションを共有し、コラボする
・短期的/漸進的なプロジェクトと長期的/革新的なプロジェクトをポートフォリオ管理する
・イノベーションのペースに合わせて柔軟に資源を割り当てる
・才能を発掘し、適所に割り当てる
・プロジェクトが完遂してから異動させる(消化不良にしない)
・プロジェクトルームで創造プロセスの探求や反復をまわす
■デザイン思考の実践
・なぜを問う
・普通を疑う
・観察やアイデアを視覚化する
・他者のアイデアを活用する
・さまざまな選択肢を求める(発散的思考)
・プロジェクトの進行に合わせて、プロセスを記録する

2019年3月19日

読書状況 読み終わった [2019年3月19日]
カテゴリ ビジネス

 あるべき指導者の姿について。古今東西の偉大なリーダーに学んだ内容を102の事例にまとめている。マインドセット面の話が多いが、一部に人材育成やコミュニケーションのスキル的な部分もある。時代は移ろっても、リーダーに求められる要件は変わらないのだろう。エピソードと共に綴られており、心に響く事例が多い。繰り返し読み返したい一冊。
 今回響いたエピソードは、以下の通り。
■指導者のものの考え方
・一視同仁(上杉謙信)
 指導者は敵をも愛するゆたかな心をもちたい
・大所高所に立つ(勝海舟、西郷隆盛)
 指導者には大局に立ち小異を捨て大同につく心がまえが大切である
■自分を高めるために
・公明正大(楊震)
 指導者はみずからかえりみてやましいところなきを期さなくてはならない
・心を遊ばせない(アルキメデス)
 指導者は体は遊んでいても心は働かせていることが大事である
・日に新た(湯王)
 指導者はつねに日に新たな思いをもたねばならない
■力強い活動を生むために
・使命感をもつ(日蓮上人)
 指導者の力強さは使命感をもつところから生まれる
・大義名分(織田信長)
 指導者はまず大義名分を明らかにしなくてはならない
・天命を知る(孔子)
 指導者は自分の力を超えた運命というものも考えてみたい
■事に成功するために
・説得力(岩倉具視)
 指導者は正しい主張でもその訴え方を工夫することが大事である
・先見性(織田信長)
 指導者はつねに将来を予見して手を打たねばならない
・人を見て法を説く(諸葛孔明)
 指導者は同じことでも相手により説き方を変えることが大事である
■過ちを少なくするために
・見識(源頼朝)
 指導者は是は是とし非を非とする見識をもたねばならない
・小事を大切に(岩崎弥太郎)
 指導者は小事をおろそかにしてはならない
■指導者の責任
・いうべきをいう(大村益次郎)
 指導者はいうべきことをいうきびしさをもたなくてはならない
・信賞必罰(諸葛孔明)
 指導者は私情を捨て、適切な賞罰を行わねばならない
・大将は大将(前田利家)
 指導者は指導者としての主座を保っていなくてはならない
■人を生かすために
・寛厳自在(池田光政)
 指導者には適度のきびしさとやさしさが必要である
・自主性を引き出す(安藤直次)
 指導者は部下の自主性を引き出し生かすことが大切である
・信頼する(劉邦)
 指導者は人を信頼し思い切って使うことが大事である
・すべてを生かす(堀秀政)
 指導者はどんな人にも使い道があることを知らねばならない
・使われる(北条氏康)
 指導者は一面部下に使われるという心持ちをもたねばならない
・包容力をもつ(桓公)
 指導者は自分に敵対する者をも受け入れる大きな度量をもちたい
・目標を与える(ケネディ)
 指導者は次つぎに適切な目標を与えなくてはならない
■事をやりぬくために
・決意を強める(夫差、勾践 ※臥薪嘗胆)
 指導者は一度決意したら、それをみずからたえず強めなくてはならない
・熱意をもつ(蘇秦)
 指導者は熱意においては最高のものをもたねばならない
■難局に処するために
・覚悟を決める(柴田勝家)
 指導者は大事にいたれば、度胸をすえてそれにあたるべきである
・世論を超える(織田信長)
 指導者は時に多数の意見を超える知恵を生み出さねばならない
・即決する(豊臣秀吉)
 指導者は即断即行を心がけなくてはならない
・乱を忘れず(加藤清正)
 指導者は"治にいて乱を忘れず"の心がまえが大切である

2019年2月13日

読書状況 読み終わった [2019年2月13日]
カテゴリ ビジネス

 短時間で相手に伝わる話し方のテクニックについて記載している。著者はヤフーアカデミアの学長で、かつてはソフトバンクアカデミアに所属していた。プレゼン技術は孫さんに鍛えられたとのこと。
 左脳と右脳の働きに着目。左脳については構造化とシンプル化、右脳についてはイメージを持たせることがそれぞれ主なポイント。左脳の部分の内容は、会社で昔よく指摘されたポイントが多く、納得感があった。他の内容についても身に付けたい。日々の心がけが大事だと思う。
 以下、ポイントをメモ。
■基本
・人は話の80%は聞いていない
・プレゼンの目的は相手に動いてもらうこと
・聞き手のイメージを持つ。立場、興味、プレゼンに求めるもの、など
・結論から先に言う。結論とは、相手に動いてほしい方向を表したもの
■左脳が理解する
・プレゼンは、相手の頭の中に自分が伝えたいことの枠組みや中身を移植する行為。理由は3つありますと言うと、相手の頭の中に枠組みができる
・必要最低限の情報に削る。プロセスは省く、気を遣いすぎない、ポジションを取り自分の意見のマイナス面は話さない(留意点として最後に話す)
・「スッキリ・カンタン」で相手を思考停止させない。スッキリ: 文字、言葉、情報量の少ない文章やスライド。カンタン: 中学生でも分かる単語
・伝え方のパターン: SDS(Summary(まとめ)-Detail(詳細)-Summary(まとめ))、PREP(Point(主張)-Reason(根拠)-Example(例示)-Point(主張))、PCSF(Problem(問題)-Change(変化)-Solution(解決策)-Future(未来))
■右脳を刺激する
・相手にイメージを持ってもらう。ビジュアルを見せる。具体例を挙げる。「想像してみてください」というフレーズで始める
■動かす
・相手の記憶に残るキーワード(超一言)を用いる
・話すときのポイント: 視線、手振り、声、間合い。話している自分と相手を俯瞰で見る(客観視)
・事前の根回しやアフターフォロー

2019年1月31日

読書状況 読み終わった [2019年1月31日]
カテゴリ ビジネス

 研修で企業訪問をすることになったため、事前学習のために購入。経歴は、阪大工学部→パナソニック(溶接機→サーバー→MBA(ハーバード)→映画)→BCG→アップル→コンパック、HP(事業統合)→ダイエー→マイクロソフト→パナソニック。HP時代から社長を務め、複数の企業で事業再生を牽引してきた。本書執筆時点ではマイクロソフトの会長。華々しい経歴の割に、目の前の目標を一つ一つ達成していく愚直な姿が共感できる。
 本書のメインテーマは、事業の変革を牽引する「プロ経営者」について、事業変革の方法や経営者の要件を深堀している。叩き上げやオーナー経営者とは、良し悪しではなく役割の違いであることに注意したい。本書で言うプロ経営者は、社外から来た経営の知識・スキルと実行力の両面を備えた専門家で、社内人材では難しい変革の実行を主として担う。
 20代・30代の社会人生活の送り方(→市場価値の高め方)についてのアドバイスもある。自身のこれまでと照らしても共感できる内容だった。プロ経営者は叩き上げと比べると、より精神的なタフさや経営手法のバリエーションが求められそうであるが、それだけに達成感も大きいものだろうと思う。
 以下、まとめきれていないが、参考にしたいポイントをメモ。
■市場価値の高め方
・20〜30代前半は、知識・スキルによる個人の生産性向上。目の前のことに集中してやりきることで鍛える
・30代後半からは、社内外の人に関するマネジメント能力による集団での価値最大化。スキルの転換点であり注意が必要。多様な環境に身を置きさまざまな人と仕事をする中で、言葉で表すのが難しい人間の厚みが鍛えられる
■人口オーナス期の組織力に重要な要素
※人口オーナス期とは、人口構成の変化が経済にマイナスに作用する状態のこと。激しい変化に伴い、構造改革や事業再生が繰り返し求められる
・1つめに必要なのがダイバーシティ&インクルージョン。老若男女が共同して働くために必要。多様性を受け入れるだけでなく、新たな価値創造へ繋げることが必要
・2つめに必要なのが戦略と実行。戦略の転換でビジネスモデルが変化すると、各人の果たすべき役割も変わる。各人が腹落ちしなければ変革は進まない
■組織変革に必要なリーダー像
・メッセージを煮詰め、確信を持って発信し、結果を出すまでぶれない。熱い思いで、繰り返し伝える
・目指す姿とそのための具体的な仕事を用意し、リーダーが率先して実績をつくる
・会社の進路を大きく変えるときはトップから担当へのダイレクトコミュニケーションが有効。職制を通じた上意下達による落とし込みは難しい
・優先順位づけ。社長のスケジュールは勝手に埋まる。忙しくても仕事をした気になってはいけない
・身体を張って得た経験が人を動かす
・素の顔と演技の使い分けも必要
・ほめることでモチベーションを高める。優秀な集団ほど重要
■戦略的思考
・戦略にはビッグピクチャー(大局観)が必要。将来にわたる競争環境や社会環境を想定。戦略のレベル差は視点の高さの差そのもの
・戦略を練る訓練は経験が必須。まずできるのは「会社が何のために存在しているか」を考える習慣をつけること
・自社の強みを活かそうとすると、必ず過去に固執してしまう。自社の生態系の外から戦略の検証が必要
■その他
・外資系企業の日本法人では、日本市場の中でウェットな合わせ技でやる部分と、本社に対してアグレッシブでロジカルにやる部分の両面が必要。これは日本企業がグローバル化を進める上でも必要な能力

2019年1月4日

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 研修で企業訪問をすることになったため、事前学習のために購入。今までになかったモノ(=ゼロイチ、イノベーション)を生み出す方法についてまとめた本。
 筆者はトヨタでスーパーカー、F1、量販車のエンジニアを担当後、ソフトバンクでPepperの開発に従事。その後、ロボットベンチャーを起業している。ソフトバンクアカデミアの外部1期生でもある。
 最近、イノベーションを生み出すための思考法についての本がかなり出回るようになってきているが、大筋は他の本と同様の内容と思う。例えばこんな内容↓
・制約条件を課して考える
・専門家の思考の死角に留意(→素人目線)
・異種の経験を組み合わせる
・失敗の数を重ねる
・ユーザーの声を鵜呑みにしない
 この本ならではのポイントは、「組織人として」大組織の官僚的な組織風土に流されず、豊富な経営資源を活用してイノベーションを生み出すポイントを述べているところ。特に組織の新規事業のリーダーとかには共感できる部分が多いのではなかろうか。
・失敗による出世への悪影響を恐れない
・コンフリクトからアイディアを磨く
・トップの無理難題をチャンスにする
・人を動かすのは、情熱と共感(ストーリー)
・イメージ化して言葉の空中戦を回避

2018年12月31日

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 研修で企業訪問をすることになったため、事前学習のために購入。フィットネスクラブの改革について述べている。画一的なマニュアルによるトレーニングの場から、地域住民・老若男女の交流の場への転換。場を形成するための社員、アルバイト、クラブ会員(お客様)の垣根を越えた共創。というのがメインテーマ。
 セミナーでの講演やディスカッションの内容をまとめた形式。臨場感があり、ビジネスモデルの転換までのステップのイメージが伝わってくる。
 一方で、方法論を学ぶには佐野さんの別書籍も合わせて読むのがベターと思われる。また実際の導入にあたっては、適切なファシリテータがリードして段階的に粘り強く進める必要があるだろう。

2018年12月19日

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 東日本大震災の被災地で農業ビジネスの起業により復興を図った記録の本。起業やリーダーシップについての気付きが得られる。さらっと読める本。
 以下、気に留めておきたいメモ。
・社会のためにやる
・日本一、世界一を目指す
・分からないことはプロに聞きまくる
・スピードと実行
・腹落ちさせるには現場が一番

2018年11月25日

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 寓話形式で変革を成功させる8段階のプロセスについて述べている。ページ数も少なくサクッと読める。閉塞感が漂う中での事業再生や組織文化の改革の際に参考にしたい。
 具体的なプロセスは下記の通り。
■準備を整える
①危機意識を高める
②変革推進チームを作る
 リーダーシップ、信頼性、コミュニケーション、専門的知識、分析力、危機意識に優れたメンバが必要
■すべきことを決定する
③変革のビジョンと戦略を立てる
■行動を起こす
④変革のビジョンを周知徹底する
⑤行動しやすい環境を整える
⑥短期的な成果を生む
⑦さらに変革を進める
■変革を根づかせる
⑧新しい文化を築く
 新しい行動様式が過去の古い因習に完全に置き換わるまで、新しいやり方を持続

 関連するビジネス書は、企業変革力(Leading Change、日経BP)、ジョン・コッターの企業変革ノート(The Heart of Change、日経BP)とのこと。また機会を見つけて読みたい。

2018年11月6日

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 イノベーティブなアイディアを生み出すための方法論(発想法)をまとめた本。濱口秀司さんの「break the bias」の手法をベースに、著者が実践から編み出した「ひらめきの作法」を織り交ぜた内容とのこと。個人の発想力を高める方法と、組織的に発想を生み出し活用する方法について述べている。
 発想法の具体的なステップは以下の通り。
①バイアスを特定する、バイアスを崩す
- バイアス=相関関係
- バイアスを外したところに新しいアイディアが生まれやすい
②新結合を考える
- イノベーション=新結合
- 全く新しいものである必要はない
- 既存のものごとの新しい組み合わせでいい
③ストーリー化して、新結合の合理性を検証する
- 合理性として、実質的な価値と情緒的な親和性を検証
 その他にポイントと感じた点は以下の通り。
■個人としての発想法
・左脳(ロジック)と右脳(直感、感覚)の両方を使う
・全く自由に考えるより、制約を持たせた方が考えやすい
・トレーニングは、左脳を最初に鍛えてから、右脳を鍛えるのが効果的
■組織としての発想法
・ブレストではアイディアを発展させる際に忖度で妥協が起きがち。事前に意思決定の責任者を決めるとよい
・Γ(ガンマ)モデル。時間とコストを考慮して、研究フェーズはじっくり、開発フェーズは速くトライ&エラー
・意思決定は不確実性を前提にする。撤退条件や予算上限を決めておき、数字ではなくロジックを重視すること

2018年9月20日

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 製造業中心のアナリストが部品事業について書いた本。同著者の新刊は読んだことがあったが、懇談の機会をいただいたので古い方も一読。
 部品事業に特化した競争優位やビジネスモデルについての考察は、この業界の関係者には有益。一貫した主張は強みやビジネスモデルを尖らせること。中小企業の勝ちパターンと同じ。言うは易し行うは難し。できるかどうかは経営者にかかっているのだろう。
 各章ごとのトピックや目を留めたポイントは下記の通り。
■2章 「世界で勝てる企業」だけが生き残る
・占有率と利益率には正の相関
・理想はニッチトップ事業の集合体。トップがとれない事業は早くやめるべき
■3章 価格競争の呪縛からの解放
【製品が供給不足になったときの対応】
・日本: 残業して増産
・台湾: 新工場を建設
・アメリカ: 値上げ
・フランス: 供給不足の維持によりプレミアムを高める
■4章 中核技術の認識とその展開
【事業成長のパターン】
・滲み出し成長: 中核技術をさまざまな分野に応用(3M、森村グループ、村田製作所)
・段々畑成長: 段階的な多角化、M&Aやアライアンス含む(日本化薬)
・跳躍的成長: 時代に合わせて新規事業を立ち上げ、既存事業から主力を移す(イビデン、京セラ)
■5章 事業の大胆な見直し
・事業構造の転換は経営者の仕事。従業員にはできない。
・構造改革は一気呵成に。小出しはNG
■6章 事業モデルの検討
【ビジネスモデルの事例】
・黒子: 表の競争の激しい部分は他社に任せ裏方として部品供給(Intel チップ→PC、三菱化学 記録材料→DVD)
・知的資産の販売(ARM、ラムバス)
・how to make(コストダウン)より先に、what to make(売価向上)(キーエンス)
・定期収入(車→交換部品、ネスレ→ネスプレッソ、プリンタ→トナー)
■7章 外部経営資源の活用
【M&A、アライアンス】
・技術の補完・組み合わせ(日本化薬(材料)+有沢製作所(加工)→ポラテクノ、味の素ファインテクノ(食品+ハイテク))
・各分野の強い企業と提携(東レ: デュ・ポン(繊維・樹脂)、東燃ゼネラル石油(二次電池用セパレータ)、パナソニック(PDP))
・積極的買収(シスコ: LANスイッチ企業)

2018年8月5日

読書状況 読み終わった [2018年8月5日]
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 ブロックチェーンの本。著者は日本銀行出身。ビットコインの問題点、ブロックチェーンについての基本的内容と金融分野での応用状況(デジタル通貨、国際送金、証券決済)について書かれている。
 金融分野に特化した本なので、ブロックチェーンのビジネスへの応用可能性を探るには向いてない。細かい話も多い。金融関係の人にはおもしろいかもしれない。ビットコインが非常に偏った運用に陥っていること、各国の金融分野でのブロックチェーンに対する実証実験への積極性などの部分は参考になった。
 以下、主なメモ。
■ブロックチェーン
・ブロックチェーン=分散型台帳技術、DLT、Distributed Ledger Technology
・応用分野: 仮想通貨(1.0)、金融分野(2.0)、非金融分野(3.0)
・特徴: 改ざん耐性が高い、可用性が高い、運用コストが低い
・オープン型: 取引の自由、参加の自由に主眼。ビットコインはこっち。中央管理者を設けないため、構築に手間がかかる
・クローズド型: 取引の安全性や信頼性、取引のリアルタイム性、早期の決済完了性に主眼。主流となる可能性が高い
■ビットコイン
・ビットコインを支えるしくみ: ブロックチェーン、プルーフ・オブ・ワーク(複雑な計算をさせることで、取引データの改ざんを防ぐ)、マイニング(通貨の発行。複雑な計算の最初の正解者に報酬として与えられる)
・通貨の三大機能は、①一般的交換手段、②価値の尺度、③価値の保蔵手段。ビットコインは、①②を限定的に満たすが、投機対象として③が中心
・ビットコインの問題点: 匿名性から闇取引に利用されやすい、取引所など流通経路や管理体制が確立されていない、マイニングの集中化(中国)、発行上限→ビットコインの将来性は厳しめ
■その他応用
・中央銀行によるデジタル通貨。主な課題は、転々流通性、匿名性、偽札リスク大(データは複製可能)
・媒介通貨による国際送金の高速化、低コスト化
・証券決済の低コスト化

2018年6月17日

読書状況 読み終わった [2018年6月17日]
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 話題の人物、堀江貴文と落合陽一の対談本。AIの台頭を中心とした時代の変化による求められる仕事の変化について考察している。モチベーション3.0とも密接に絡む内容。キャリア形成の参考にしたい。特に独占業務のような資格で保護された知識集約的な仕事をしている人は読んだ方がいいかも。
 ポイントをまとめると下記のような感じ。
■時代の変化
・仕事は「引き受けるもの」から「作るもの」へ変わる
・プロとアマチュアの仕事の差をテクノロジーが縮める。勉強して特殊性のあるスキルを身に付けても、インターネットにより容易に模倣される
・AIに仕事が奪われることで、人間が本来すべき仕事に注力できる。半人力半AI
・貨幣経済→信用経済。短期的にお金を得ることより、信用を築くことが重要
■なくなる・変わる仕事、生まれる・伸びる仕事
・機械化した方が低コストの仕事からなくなる(ヒトの管理、定型業務など)
・その人しかできない仕事はなくせない(機械化のコストと割に合わない)
■仕事を得るコツ
・新しい技術を常に取り込み続けないと特殊性の維持はできない
・好きなことを掛け合わせて独自性が生まれる。いろいろなことに挑戦した方がリスクヘッジになる
・遊ぶ、働く、学ぶの間に区切りを設けず、三位一体の生き方
・能力差=経験差。何を経験するかモチベーションの有無が人間の価値を左右する
■その他
・就活での同質化や根性論はナンセンス
・料理店での長年の修行は同じものしか産み出せない
・1年後の未来も分からないのに、10年後の未来を精緻に予測しても意味がない

 AIによる仕事の変化に限ると、以下のような基準にまとめられそう。
■なくなる
・定型的、合理的に処理できる
・統計的に確からしい答えが出せる
・アウトプットがデータ(実体を伴わない)
・限られた領域の知識で処理できる
■伸びる
・AIにさせる仕事(→システム全体のあるべき)を設計できる
・ヒトの感情に訴える(モティベート、コミュニケーション)
・専門的、ニッチな付加価値を与える作業、サービス
・リアルな体験を伴う

2018年6月4日

読書状況 読み終わった [2018年6月4日]
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書評
 管理会計についての本。基本と言いつつも内容は非常に充実している。見る側(≠作る側)の視点としてはこの本だけでほとんどの判断は可能になりそう。新米・ベテランコンサルの対話形式で進んでいく。平易な内容ばかりではなく、多少難しい部分も分かりやすく書かれている。
 各章ごとのトピックや目を留めたポイントは下記の通り。
■意思決定
・埋没コストと機会コスト
・固定費→内外製判断
・限利→原価割れでの受注是非判断
■CVP分析
・損益分岐点は製造量と販売量が釣り合う前提(→在庫を考慮すると損益分岐点が上がる)
・売上の不確実性に対し、安全余裕率を意識した予算編成が有効
■固変分解
・費目別精査法(←費用の実態がある程度把握できているときに効果的)
・最小自乗法(←コスト構造が安定しているときに効果的)
■投資の経済性
・タックスシールド、加重平均資本コスト(WACC)
・評価手法: 回収期間法、投下資本利益率法(ROI法)、正味現在価値法(NPV法)、内部利益率法(IRR法)
■コストマネジメント
・原価企画(直接原価は企画・設計段階で作り込む)
・活動基準原価計算(ABC、Activity Based Costing、間接費をまとめず個々に適切な基準で配賦)
・負担金方式(間接部門を利益目標で管理できる)
・コストを管理可能か不能かに切り分ける
■業績評価
・人は採点基準通りに行動する
・部門別損益で管理不能固定費配賦後の利益で業績評価するのはNG。あくまで目標値の設定として
■BSC
・財務→顧客→業務プロセス→学習と成長の視点
・ビジョンと戦略をベースにKPIを統合する
・パフォーマンス・ドライバ(行動を促す事前的指標)と成果尺度(結果を測る事後的指標)
・KGIやOKRもKPIと同じ
・戦略マップ

2018年6月3日

読書状況 読み終わった [2018年6月3日]
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 原価計算の基本と実務面での勘所が分かる本。以下のような内容について書かれている。
■基本
・原価計算の社外(財務会計)、社内(管理会計)向けの目的・違い
・原価の要素(材料費、労務費、経費、製造間接費)
・部門への配賦方法
・実際原価計算と標準原価計算
■応用
・ABC(Activity-Based Costing、活動量基準原価計算)
※稼働時間ではなく活動単位で配賦基準を作り、多品種少量生産品種に適切な製造間接費を配賦する手法
・キャッシュフロー視点での原価計算
・部門業績評価のための原価計算
 基本的な内容は網羅されており、図も豊富で分かりやすい。さらに精度(実態を精確に捉えた原価把握)と工数(集計の大変さ)を天秤にかけるなど、タイムリーに原価を把握して経営判断に活用するための落とし所を探る実践的な内容となっている。実務も含めて基本を押さえるには良書だと思う。
 一方で後半の応用的な内容は、企業・業種によっては参考になる内容かもしれないが、自分にはあまり役立ちそうになかった。ABCの必要性の部分で、少品種大量生産→多品種少量生産、手作業→機械化(直接費→間接費のウェイト拡大)のシフトで、製造間接費をより効果的に管理する必要が生じたという内容は、考え方として参考になった。

2018年5月23日

読書状況 読み終わった [2018年5月23日]
カテゴリ ビジネス

 ポジショニング戦略の大家による競争戦略についての本。前著「競争の戦略」は業界分析のフレームワークと基本戦略(コストリーダーシップ、差別化、集中)について述べたのに対し、本著では基本戦略の実践方法について述べている。より具体的なアクションに繋げやすい手触り感のある内容になったと感じる。
(1) 競争優位の原理
 基本戦略の実現手段について、バリューチェーンを活用した分析・実践方法について記載してある。コストリーダーシップの実現には、バリューチェーン内の各コスト要因の削減、バリューチェーンの再編成。差別化の実現には、バリューチェーン内の各プロセスでの差別化、買い手のバリューチェーンへの差別化影響検証。バリューチェーンって優秀なフレームワークだなぁと感じさせる。
(2) 業界内部の競争分野をどう決めるか
 事業立地の良し悪しを判断するため、業界細分化(セグメンテーション)と代替品の脅威について深堀している。
(3) 企業戦略と競争優位
 多角化企業を前提に、複数事業に対するポートフォリオマネジメントやシナジーといった観点で分析している。特に大企業において、事業のタテ軸と事業間のヨコ軸をどうバランスさせるか、考え方が参考になると思われる。
(4) 攻撃と防衛の競争戦略
 シナリオ策定による先々を見通した攻め・守りの戦略について。リスクマネジメントの考え方は大事ではあるが、VUCAな今の時代ではもう少しやり方は考える必要がありそう。

2018年5月13日

読書状況 読み終わった [2018年5月13日]
カテゴリ ビジネス

 ポジショニング戦略の大家による競争戦略についての本。業界(競合、市場)の特性を踏まえた戦い方について述べている。バーニーが企業内部を深堀したのとは対照的。1982年の発刊ながら、今でも読みごたえのある内容。
(1) 競争戦略のための分析技法
 業界分析の手法や着眼点について非常に多くの内容が記載されており、やりだすとキリが無いという印象。不確実性が高くて変化のスピードが早い世の中であることに加え、業界の垣根が崩れつつある中ではなおさら。やはり戦略を考える上では、3C、SWOTで内外をざっくり俯瞰した上で、まずどんな戦略オプションを取りうるかケイパビリティにベースを置いて考えた方がいいと思う。ただし得られた戦略オプションに対して結論ありきにならず、各戦略オプションに対して業界がどう動くか仮説を立てて検証するのが大事かなと。自社の情報発信により業界の動きに影響を与えるマーケット・シグナルという考え方は初見でおもしろかった。
(2) 業界環境のタイプ別競争戦略
 業界環境を市場のライフサイクルなどで数パターンに分類し、業界特性や戦略立案のポイントについて述べている。特に成熟業界への移行期、衰退業界など、逆風局面での競争戦略を深堀したものはあまり読んだことがなく参考になった。
(3) 戦略デシジョン
 垂直統合、設備投資、新規参入などの戦略デシジョンについて述べている。特に気づきはなかった。
■キーワード
 5フォース分析、基本戦略(コストリーダーシップ、差別化、集中)、マーケット・シグナル、製品ライフサイクル、イノベーション(製品、マーケティング、生産プロセス)

2018年5月1日

読書状況 読み終わった [2018年5月1日]
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 Googleの企業文化や人事制度(採用、評価)などについて述べた本。Googleはベンチャー精神を保ちながら事業拡大できた稀有な企業、という印象を受ける。創業20年で社員数は10万人規模の大企業。普通なら官僚的な会社になってもおかしくなさそう。しかしさまざまな仕掛けにより、活気あるイノベーティブな会社であり続けている。実際に日本のオフィスを見学したことがあるが、記載内容との矛盾は無く、より理解が深まった。
 特に大手企業に勤めている人は、働き方を見直すヒントになると思う。とは言ってもカルチャーとしくみは両輪なので、簡単に一部を模倣することはできそうにないが。
 特徴としては、スマート・クリエイティブと呼ぶ能力・意欲ともに傑出した人材のみで会社を構成しようとしているところ。その人材を増加(採用)させ繋ぎ止め、最大限に能力を発揮できる環境を整えることで、イノベーションを継続的に生み出しつつ成長している。
 主に気になったポイントは以下の通り。
■文化
・喜んで出社したくなる職場環境を作る。食堂、レジャー施設など
・組織をフラットにし、従業員の自由度を上げる。部下は7人以上にすると、マイクロマネジメントの余裕がなくなる
・ワークはライフの一部で切り分けるものではない。時間を管理するより満足度向上に目を向ける。働き方は各人が見つける
・上下(経営層と従業員)、左右(部門間)でアイデア、予定表など情報共有を推進。経営の透明性を確保。経営陣との対話の奨励
・全てデータオリエンティッドに客観的に考える
・失敗を推奨する。失敗が許容されることを経験(20%ルール)を通じて学べる
・思考は大きく。10%改善ではなく、10倍スケールで考える(Think 10x)
■人材
・採用はヒエラルキー型(上司承認)ではなくピア型(委員会で審査)がよい
・優秀な人材が優秀な人材を引き寄せる。社員全員を採用担当にして知り合いの優秀な人材を引きつける
・不採用の誤りより、採用の誤りを防ぐ。
■コミュニケーション
・取締役会で報告する全ての情報を全従業員に同様に共有する
・中間管理職の報告を鵜呑みにせず、現場から情報を得る
■その他
・イノベーションには模倣困難な技術的優位が必須。ライバルは気にしない
・プロダクトを世に出してから手直しする。早く世に出すことが重要。ただし機能は限定的でも最高のものを
・企業存続上のマイナスの環境変化にこそしっかり向き合う。不確実で変化の速い時代の中で、非連続な変化に対応する

2018年4月12日

読書状況 読み終わった [2018年4月12日]
カテゴリ ビジネス

 企業経営における会計的思考の重要性について述べた本。筆者は三洋電機の出身。前半部分は複数のセグメントを持つ大手企業の経営企画や財務会計に関わる人向け。後半部分は中小企業や起業家にも参考になる内容。具体的には下記のようなものがある。
・中期経営計画策定
・事業ポートフォリオ管理、PPM
・各種経営指標(ROE、EVA、など)
・M&A戦略
・企業価値評価(買収価格の設定)
・予算管理
・CVP分析
・業務的意思決定、戦略的意思決定
・資金調達方法
 製品のライフサイクルや企業の成長ステージに着目し、各フェーズごとに会計的観点から注視するポイントを記載してある。DCF法とか資本コストとか細かい解説はないので、ある程度事前知識が無いと厳しそうな部分も。
 全体を通して単なる一般論の紹介ではなく、実務に即した内容としているのが参考になる。例えば以下の点。
・適切な権限委譲(分権化)ができていないと、部分最適や指示待ちが横行。(本社役員が出身事業場の利益を主張、事業場長が全社戦略を非難など)
・不採算事業の売却検討では、内部ミドル層の抵抗に遭っても仕方ない。
・買収時の不審点は徹底的に調べること。買収先が情報提供を渋る場合は特に。
・予算は業績評価の基礎。部門、社員が予算達成のモチベーションを高められる公平性や透明性が必要。
・CVP分析は生産量と販売量が等しいことが前提であることに注意。在庫の概念が無いため。
・投資検討に工数をじっくり費やすほど、埋没コストを意識して中止が難しい。
 会計リテラシーがあっても、理性的な意思決定を組織として行うには一工夫必要と感じる。

2018年3月21日

読書状況 読み終わった [2018年3月21日]
カテゴリ ビジネス

 経営企画に必要なのはこういう能力だから一読するように、と上司から仰せ付かって読んだ本。
■著者の主張
 知識がインターネットから簡単かつ迅速に手に入るようになった今、ビジネスマンに必要なのは地頭力。地頭力とは仮説思考力(結論から考える)、フレームワーク思考力(全体から考える)、抽象化思考力(単純に考える)の3つ。これら3つを支えるのが論理的思考力(サイエンス)と、直感力(アート)。さらにこの2つを支えるのが問題解決(why)型の知的好奇心(≠知識(what)型)。
■仮説思考
プロセス: 仮説を立てる⇔検証/仮説の修正 ※繰り返し
ポイント: 検証で精度を高める(当初仮説から軌道修正も必要)、デッドラインから逆算してそれなりの成果物を仕上げる(タイムボックス)、少ない情報でも割り切る
■フレームワーク思考
プロセス: 全体俯瞰⇒切り口選択⇒分類(足し算)⇒因数分解(掛け算)⇒全体再俯瞰、ボトルネックの発見
ポイント: 分類する箱から先に考える(≠項目抽出後に分類)
■抽象化思考
プロセス: 抽象化⇒解法(アナロジー)の適用⇒再具現化
ポイント: 対象の最大の特徴(=本質)で単純化(=モデル化)、枝葉は切り捨てる、アナロジーは、たとえ話で言い換える
■地頭力の鍛え方
フェルミ推定(※数字にも強くなる)、日常の中で問題意識を持つ

 著者が参考にした文献には、以前に読んだ内田さんの「仮説思考」や外山さんの「思考の整理学」などが。「コンサルに必要な思考法ってこんなもの」ってのを端的にまとめてあるように思う。詳細は参考文献に書いてあるものを読んでいくと良さそう。入門書、あるいはある程度読書や実務を重ねた上での頭の整理に使えそう。
 採用選考で使われることの多いフェルミ推定。某社の人事から、採用選考時のフェルミ推定のポイントと採用後の実務のパフォーマンスとの間に相関関係はなかったのでやめたと聞いた。たぶん何故フェルミ推定がトレーニングになるかということを理解して取り組まないと効果は無いということかな、と思う。

2018年3月7日

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カテゴリ ビジネス

 新たな経済の潮流について述べた本。中央で管理されるお金=価値であった資本主義の時代から、テクノロジーの進歩による分散化の結果、お金は価値の一つの形に過ぎないとする価値主義の時代がきている。経済は中央集権から個人が創造しうるモノになりつつある、ということがメインの主張だと理解した。それほど体系的に書かれていないのでうまくまとめて解釈するのが難しいが。
 最近のビジネスモデルから肌で感じていたことをうまく整理してくれた感じ。世の人からの支持・評価を得られれば、いつでもそれをお金に換えることができる。
 著者は世の中で起きている事象を関連付けて構造化するのが非常にうまいと感じる。また経済の理解においてヒトの性質を良く捉えていると思う。最新のテクノロジーだけでなく歴史にも造詣が深い。
 「私たちの脳は一度常識が出来上がってしまうとその枠組みの中で物事を考えたり判断するようになってしまい、新しく誕生した技術などをバイアスなしに見ることが難しい」というのはもっともらしいし危機感を感じる一言。世の中で起きていることをありのままに素直に捉えて、柔軟な頭で変化する時代を生きていきたい。
登場するバズワード: AI、Fintech、仮想通貨、ブロックチェーン、クラウドファンディング、シェアリングエコノミー、などなど

2018年3月3日

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カテゴリ ビジネス

 企業経営におけるアート(直感・感性)に基づくアプローチの有用性について述べている。
 別著の「仮説思考」、「論説思考」(特に前者)を事前に読んでおくと、2割増しでおもしろい。「仮説思考」ではアートを問題解決にフォーカスして掘り下げたのに対し、本書ではアートの適用可能性を横へ広げる役割を果たしているとの印象。
 以下、メモ書き。
■概要
 サイエンス(論理・理性)とクラフト(経験・知識)に基づくアプローチには限界があり、アートに基づくアプローチが必要となる。アートに基づくアプローチでは、個々人の美意識により判断が下される。美意識を醸成することで、判断の有効性を高めることができる。
 判断基準は真・善・美から成る。従来は、真=論理、善=法律、美=市場調査、という客観的基準であった。アートに基づくと、真=直感、善=倫理・道徳、美=審美感性、という主観的基準となる。
■美意識の効用
・ビジョン、戦略の策定: エッセンスの抽出、従業員を動かすワクワク感の喚起
・プロダクトデザイン: 自社基点の創造的デザイン(≠顕在化した顧客要求の積み上げ)、他社に模倣されにくい世界観やストーリーの構築
・問題解決: VUCA(不安定、不確実、複雑、曖昧)な事業環境における意思決定
・組織風土: 自然法主義(法律より普遍的倫理感を優先)に基づく判断基準の定着化
■美意識の鍛え方
・VTS(美術作品の解釈の複数人での共有化): 視点の多様化、物事を素直に見る
・哲学: 思考プロセスや知的態度(社会との向き合い方)に刺激を受ける、システムに最適化しつつ懐疑的に批判する
・文学: 登場人物の生き方や考え方を自身の美意識に取り入れる
・詩: メタファー(少ない情報で豊かなイメージを伝達する)の技術を学ぶ
■その他メモ
・「美しさには言葉で説明できない普遍的妥当性がある(カント)」というのは経験的に納得できる
・美しいものは説明がなくとも人の感性に働きかけるもの。説明が必要な時点でダメ。
・KPI(計測可能な指標)は企業活動の一部の要素に過ぎず、KPI重視の経営には限界がある。KPIを偏重するとコンプライアンス違反も引き起こす。

2018年1月13日

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カテゴリ ビジネス
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 問題解決の基本プロセス、その際の留意点、コンサルティング実務上の様々なチップス、マッキンゼーの組織風土などについて書かれている。コンサルティング実務に対する著者の考えや周辺のマッキンゼー人から得た知見が記載されている。
 タイトルと中身が違ったり、章立てがイマイチだったり、マッキンゼー人全般の考えと著者個人の考えが混ざっていたりと、読みにくいところもある。また2001年の本なので、少し中身が古いところもある。
 あまり体系的には書かれていない。自身の参考になるところだけ拾い読みするのがよい。
 以下、自分用のメモ。
■問題解決プロセスの基本
事実収集⇒構造化(MECE)⇒仮説立案・検証
■問題解決プロセスの応用、留意点
・問題定義:与えられた問題が本質か確かめる
・フレームワークを使って分析のとっかかりをつかむ
・当初仮説が正しいと思い込まない
・クライアントの立場に合った解決策を提案する
・企業内政治にうまく対応する(少しずつ改善する、ネガティブ影響を受ける部門に配慮する)
・問題の核となるキードライバーを探す
・多忙な経営層のために30秒でプレゼンできるようにしておく
■その他
・面接調査: 面接相手の上司のお膳立て、自身の答えに誘導しない、言い換えで認識を合わせる、聞き出すポイントを絞る、面接後の緊張感の解けた状態で質問する
・ブレスト: 開始前の自分の意見に囚われない
・プレゼン: 関係者に事前報告しておく、1チャート1メッセージ、滝グラフの活用
・メール: 簡潔、完全(必要な情報を網羅)、構造
・働き方: 仕事とプライベートの線引きをするルールを作る

2018年1月21日

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 前著「マッキンゼー式 世界最強の仕事術」の続編。感覚的には全体の30%は前著の要約から構成されているように思う。今作では前著のコンサルティング実務上のチップスの実践への適用方法を述べている。
 実践を意識したからか、理想論ではなく限られた時間で最大限のアウトプットを出すことを重視したように思う。具体的には、問題点の設定における仮説の効用、検証・分析精度は荒くてよい、まずやってから徐々に改善、データ収集は必要最小限に、など。
 基本的に記載内容は前著と大きく変わりない感じ。前著より章立てが読みやすくなっていると感じたが、記述をシンプル化した部分も多く今作だけでは消化不良が起こるかも。

2018年1月24日

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カテゴリ ビジネス

 BCGのコンサルタントが論点思考について述べた本。
 論点とは、解くべき問題のことで、論点思考とは、論点を定義するプロセスのこと。問題解決プロセスの最上流に当たる。
■論点思考の効用
 解く意味のある問題を設定できる。論点設定が不十分だと、いくら問題解決力が優れていても、成果を最大化できない。
■論点思考のプロセス
 論点候補を洗い出す⇒論点を絞り込む⇒論点を確定する(全体像で確認する)の順。ただしキレイには進まないことが多く、行ったり来たりを繰り返しながら論点を収束させる。
■論点候補を洗い出す
 ・問題は何か、解けるか、解けるとどんないいことがあるか、を考える。
 ・論点と現象の違いを見極めることに留意。現象や観察事実は論点ではない。
 ・論点は動くことに留意。①誰を対象とするかによって論点は異なる、②論点は内外の環境変化と共に変化する、③論点は進化する(議論が進むと別の論点が見つかる)
 ・クライアントの言う論点を鵜呑みにしない。論点が正しいか疑うところから始める。
 ・一般的な問題は論点にはならない。その会社のケースで具体的に深掘りして初めて論点となる。業界全体の問題でも、その会社にとって論点とは限らない。
 ・複数の論点を考える。論点の代替案を考えることも重要。
■論点を絞り込む
 ・最も成果を上げられる問題点へ優先順位を付ける。
 ・「当たりをつける」: 経験に基づく判断(仮説)で、論点候補を絞る。フレームワークなど分析手法を用いて構造化するのはこの後で。
 ・「筋の良し悪しを見極める」: 簡単に解けて実行できるか、短期間で大きな成果を生むか見極める。つまり投資対効果。
■論点を確定する(全体像で確認する)
 ・プロービング(刺激を与えて反応を見る)を行う。クライアントへの質問や仮説をぶつける。クライアントの真意を探る。
 ・引き出しを参照する。アナロジーなど。
 ・論点を構造化する。論点の紐付け、ロジックツリーなど。複数の論点を上位概念で括ると真の論点に近づきやすい。
■論点思考力を高める
 ・問題意識を持つ。上位者が設定した課題に対する作業を自身が行う場合も、上位者の課題を自分化して捉える。仕事、日常生活の中で。結果的に引き出しも増える。
 ・視野を広げる: 普段あまり気にしないことに注意を向ける。視座を高める: 自分の二つ上のポジションの立場で考える。視点を変える: 切り口を変える。逆から考える、両極端に振って考える、など。
 ・部下育成の観点では、力量に応じて仮説を与えず論点を与える、課題そのものを考えさせるなどが有効。

 作業者に徹してるとこういう思考はなかなか身に付かないので、日頃から意識したい。仮説思考とセットで読むと良い。

2018年1月5日

読書状況 読み終わった [2018年1月5日]
カテゴリ ビジネス
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