東京五輪1964の偉業についての作品の下巻。
名前だけは知っている政治家たちが
次々と登場する。
吉田茂、大平正芳、佐藤栄作、田中角栄、宮沢喜一 etc.
半世紀前から現代にかけての日本の政治経済について
いかに自分が未知だったのか、思い知らされる作品だった。
反省はともかく、あらすじは内容紹介から抜粋しよう。
政治家に転身した池田勇人は着実に要職を踏み、ついに首相に就任。
東京オリンピック開催準備の政府責任者として、
首都大改造、東海道新幹線の建設などを指揮、経済成長を牽引する。
しかし、開催直前、病魔が池田を襲う。
一方、東京五輪決定を機に
組織委員会事務総長に就任した元朝日新聞記者の田畑政治は、
突如湧き起った責任問題で事務総長辞任に追い込まれてしまう。
「記憶に残る大会に」「経済成長に弾みを」...。
それぞれの理想を掲げて奔走した二人。
そしてついに「この日」は訪れた―。
1964年に向かって10年以上も前から準備をしていた二人。
東京五輪が連れてくる効果は、
国民の生きる望みだったり、
低迷する国の経済成長だったりと想像され、
そこへ東海道新幹線建設計画も加わる。
日本国民のため、日本の発展のために何としても五輪を東京へ。
切なる願いはかなえられ、
東京五輪という大きなイベントの前に全てが繋がり、
日本国民の希望と経済成長という相乗効果を生む結果となった。
それにしても私が生まれる以前から
この国を支えていた人々はなんと強くて潔いことだろう。
池田勇人は総理大臣になった日、
愛娘たちに着物を贈るが、それは喪服一式だった。
総理となったからには自分の身に何があるかわからないから、
心しておけ、ということだ。
当時は高橋是清や岸信介、
それにアメリカではケネディ大統領までもが、
凶弾の元に倒れた時代だから、無理もない話だ。
日本の総理大臣池田勇人も、
それだけの覚悟があって政務に臨んだということだろう。
オリンピックの絵標識をデザインした人々は
全ての作品の著作権を放棄したという。
日本国民が作った作品だ、ということにしたらしい。
そう、東京五輪1964は、
この作品の主人公たちの願ったとおり、
日本民族を一つにし、経済復興に役立ったのだ。
2020年の東京オリンピックは
1964年のオリンピックがライバルだと一時CMなどで流されたが、
現状はどうだろう。
どうみても、1964年の方が輝いてると思う。
オリンピックへの時間は、もう4年をきっているのに、
なんだか暗澹たる道筋のように思うのは私だけかな。
東京オリンピック2020を控えて、
あの頃の日本の先人たちに
難問を乗り越えるにはどうすればよいか、聞いてみたい。
現代の政治家たちには
あの頃の強さや覚悟があまりないように思えるからなあ・・・。
あっ、それもそのはずか。
よく考えてみれば、あの当時活躍していた政治家の
二世や三世が表舞台に立っている時代だもの。
お坊ちゃま育ちに
強靭な精神力を求めるのは無理なのかもしれないなあ・・・。
- 感想投稿日 : 2017年2月11日
- 読了日 : 2017年2月11日
- 本棚登録日 : 2017年2月11日
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