潜航せよ (単行本)

著者 :
  • 角川書店 (2013年10月26日発売)
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感想 : 25
4

中国の戦略型原子力潜水艦が、
日本海で原因不明の爆発事故を起こした。
副長とその仲間が仕組んだもので、
中国本土でのクーデターに端を発していた。
その一方日本では、
対馬赴任途中で空自安濃1尉が拉致され、釜山に送られた。
まわりが騒がぬように、
安濃そっくりの男がなりすまして赴任先に到着していた。
安濃の旧知の女性自衛官遠野真樹1尉が
電話で彼と話し、安濃本人ではないと明言。
安濃はどこへ行った? そこから始まった日本側の必死の捜索。
そしてなぜ、拉致されたのが安濃だったのか。拉致の目的は?
拉致監禁されていた安濃はなんとか無事に脱出をはかる。
釜山から北京へ移動させられる途中、
相手から奪った携帯電話で、
日本にいる妻に連絡し、無事の報告と現状を伝える。
迫ってくる追ってから、まだまだ安濃の逃亡は続く・・・。

ハラハラしながらも中身の恐ろしさに身が引き締まる思いだった。
現実問題としていかにもありそうな話だった。
現職自衛官を拉致し、なりすましの偽物を送り込み、
軍事関係の機密中の丸秘情報を探り出そうとする。
しかも事件現場は、
トップがいる中央ではなく、防人にあたる対馬の基地である。
クーデターをおこすような某国からは、
このように自衛隊も狙われるのだなあ。

この作品は前作があるらしいが、これはこれだけでも充分に楽しめる。
タイトルの「潜航せよ」については、
潜水艦の話からつけられたとばかり思っていたが、
ラストの首相のセリフからだったとは!

表面は普通の生活をしながらも
一度命令が出ればその職務にただちに就け。
それまでは、表にでるな。ということだ。
自衛官にとっては特殊任務。
責務を果たすのは務めだが、家族はどうなる?
「紗代、僕は、また君を置いていくかもしれない」
安濃のセリフは、
家族愛と職務に板挟みになる自衛官の本心だ。

国を守るのが自衛官の任務だが、
どこまでの武力保身が「守る」ことになるのだろう。
戦争をしたくて自衛官を志す人などいないと思う。
この作品の某国のような国から戦争を仕掛けられてきたら、
やむなく、排除のために武器を持つ。
それが自衛隊の真の設立の意義だったハズだ。今までは・・・!

世界情勢が変わる中、この「守る」がどう変化して
政府首脳陣に受け取られていくのか不安である。
どう変化しようとも、
実際に動かされ翻弄されるのは、現職自衛官であり国民だ。
リアルな「国を守る」問題意識は、
作品とは別問題だが、作品のようなミッションが、
密やかにが進められいるかもしれないと思うとぞっとする。

※前作は主人公安濃1尉が、
この事件の前に巻き込まれたクーデターを書いたものらしい。
こちらも余裕があれば読んでみたいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年9月3日
読了日 : 2015年9月3日
本棚登録日 : 2015年9月3日

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