「日本人は思想したか?」なんて刺激的な問いかけなんだろ、と思って古本屋で手に取った。著者は吉本隆明、梅原猛、中沢新一という順なんだけど、梅原猛がメインでしゃべってしゃべってしゃべりまくる。日本人の思想というものがそもそも西欧と比べて同じものではない以上、その形成過程を論じることから始まる。どう違うのか?なぜ違うのか?日本人は結局思想したのか?何をどう思想したのか?梅原の得意とする日本人のルーツの話から始まり、吉本の得意とする親鸞、仏教を超えてゆく。メインである吉本と梅原の考え方が元々ずいぶん異なるところに、梅原のこの性格なので高度な議論になりそうなのに話がかみ合いそうにない感じで始まる。最初は「高度な議論なんだけどバランスがなぁ…」なんて思ってたのだけれど、ところが意外な形で事態は打開される。この中沢新一の頭の切れることといったらもう。吉本と梅原を見事につなぎ止めるだけではなくって、話題の転換、まとめ、提案などなど随所にきらり輝くコメントを連発。この3人の組み合わせ以外には考えられない、といった感じで綱渡りの様な緊張感を保ちつつ議論がつづく。個人的には前半ちょっとしんどく、後半がかなりエキサイティングだと思った。特に最後の2章が良かった。西田哲学の読み解き方のヒントを得た。西田幾多郎の思索と体験を以前読んだのだけれど、正直なところわかったようでほとんどわからなかった。きっと今ならずいぶんわかると思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
オススメしたいもの
- 感想投稿日 : 2012年2月28日
- 読了日 : 2005年2月28日
- 本棚登録日 : 2012年2月28日
みんなの感想をみる