もう少しコロナ色の強い書籍かと思ったら、基本的にはずっと連載しているリレー日記のようなものを2020年1年間についてまとめて、「パンデミック日記」とタイトルをつけただけのようだ。あざとい。
最初の筒井康隆とかはコロナは全く関係なく、おじいちゃんの年始の様子として読めてそれはそれで面白い。
が、読み進むにつれ、自分の過ごした1年間との感覚の乖離がだんだん感じられてしんどくなってきた。え、この時期に外食してるの、わー、移動もしてるし帰省もしてる、と彼我のあまりの差にそりゃパンデミックにもなるわ、あんなに人との接触を減らせと繰り返し伝えていたのに全然伝わっとらんじゃないの、と愕然とした。
4月から5月にかけては完全にステイホーム、その後も出張なし、学校行事全然なし、修学旅行も延期の末行き先変更、と制限を受け続けた日々の暮らしを振り返ってひき比べると、やっぱりここに書いている人たち想像を絶するほどゆるい、とあらためて読み直す。
まあもちろん中にはステイホームしている人もいるんだけど、自由業の方が多いからなのか、言動が世の中標準よりもだいぶ自由な印象を持たずにはいられない。こういう人たちが出版とか言論とかを回しているんだろうか。そしたら論理性とか欠けててもしょうがないな、と軽く絶望する。
あと、文筆業を名乗る人の中に知らない人が圧倒的に多いことに驚く。その文章を読んで、作品を読んでみようと思える人も全然いないことにも驚く。唯一、川上弘美さんだけ共感を覚えて何か読んでみようかなと思った。
とにかく、一年分通して読んで消耗した。がっくし。
- 感想投稿日 : 2022年6月27日
- 読了日 : 2022年6月21日
- 本棚登録日 : 2022年6月21日
みんなの感想をみる