週刊東洋経済でも週刊ダイヤモンドでも絶賛されていて、気になったので読んでみた。
自分の専門外の本ということもあってちょっと難しいと思うところもあったけど、物価(というより、インフレやデフレ)についてよく分かったように思う。
物価が蚊柱という比喩はいまいちピンとこなかったけど、ようは止まっているのは死んでいるのと同じということなのだろうなと思った。
そういう意味で、長いこと物価が止まっていた日本は死んでいるようなものだったということかな。昨年は、値上げ値上げで状況が違ってるようにも思うけど。
1974年の物価高、いわゆる狂乱物価はよく石油危機が原因なんていわれるけど、この本では原油高が原因ではないと書かれてあってビックリした。そもそもの原因は、日銀による貨幣の供給過剰らしい。オイルショックとはいったい…。
デフレの解決には、減税をしたほうがいいのに、むしろ日本は増税をしたとのこと。こうやって言われると、やっぱり消費税増税っておかしな行動だったんじゃないかと思う。もう、減税されることはないのかな。
この本を読んで、日本のPOSってすごいんだなと思った。初めて知ったけど、昔からPOSレジのデータを一か所に集積するようにしているらしい。小売業者だけで閉じているわけではないのか。これがあることで、日本は物価に関しての古いデータが溜まっているらしい。まさにビッグデータだ。
それにしても、日本はいろいろ特殊な国なんだろうなと思った。
購買価格の年代ごとのデータなんて、米国と日本のデータで傾向が全然違うらしい。しかも、なぜそうなるのか理由はよく分かってないらしい。
後、若者がインフレを知らないというのも特殊らしい。去年は値上げばかりだったからインフレともいえるけど、インフレはインフレでもスタグフレーションだしなぁ。
後、物価については人がどう予想するかで決まってくるのだとか。なんか、物価も株価みたいなものなんだろうなと思った。
MONIACという、経済学者のフィリップスが開発した機械が気になった。水の流れでお金がどう流れるか表した者らしい。原理が全然分からないけど、ちょっと気になった。
ちょっとしか書かれてないけど、ナラティブ経済学という概念は面白いなと思った。人々がイメージするストーリーによって経済がうごくということだと思うのだけど、まさにそうだよなと思った。人々が銀行が破産すると思ったら、銀行は破産するというしね。もっと将来の希望をもてるストーリーを日本人がもっていけたら、実際によくなっていくのだろうなと思う。
日本の物価については変わらないという話は、確かにと思いながら、つきつめて考えるとそう単純な話でもないのだなと思った。
同じ価格でも、容量が減っているということはよく起こってるらしい。しかも、そのために結構な企業努力をしてるのだとか。
価格をあげるほうがよっぽどか楽だろうに、大変だなと思う。
値上げ・値下げについての日本人とアメリカ人の消費者の反応のグラフをみても、日本人がいかに値上げに拒否感が強いのかがよく分かる。
それは自分もだけど、こういう考えはあらためていかないといけないのだろうなと思った。
なお、アベノミクスの異次元の金融緩和は、著者からみても異次元だと思ったらしい。それでもうまくいかなかったのだから、デフレ対策というのは相当難しいのだろうなと思う。
ただ、この本に書かれたのは2021年。2022年はなんでも値上げだったから状況は違うよなと思ったら、昨年の10月に著者が新書の新刊をだされたらしい。
ちょっと気になるので、読んでみたい。
- 感想投稿日 : 2023年1月29日
- 読了日 : 2023年1月29日
- 本棚登録日 : 2023年1月29日
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