Winny 天才プログラマー金子勇との7年半 (NextPublishing)

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レビュー : 13
著者 :
amano225さん 電子書籍を読んだ   読み終わった 

天才プログラマと呼ばれた金子勇のWinny事件裁判の記録。
当時、自分はWinnyを使ったことが無く、ニュースでしか触れたことが無かったので、著作権物を蔓延させやすくするツールという印象があった。なので、そういうことを想定して作ったのであれば罪になるのではないかと思っていたのだけど、全然そんなことはなかったというのをこの本を読んで分かった。
金子勇というと、Winnyで有名になったという印象があるけど、その前に経済産業省の「未踏ソフトウェア創出事業」に参加していたようで、一部界隈ではその時点で有名だったらしい。まあ、そりゃあWinnyを作れる技術があるなら、遅かれ早かれ注目されるか。
それにしても、何で警察や検察はここまで金子氏を有罪にさせることにこだわったのだろう。ITの知識に乏しいとかもはやそういう問題でもないような気がする。最近だと、Coinhive事件とかアラートループ事件とかもそうだけど、日本のITの技術発展を後退させようとしているのかと思えることがある(この二つに関しては、モラル的に問題というのはもしかしたらあったかもしれないけど、被害者らしい被害者がいない)。
人質司法というのはよく聞くけど、本当にひどいなとお思った。一度、逮捕してしまったら冤罪はありえないという感じなのだろうか。重大事件じゃないうえに逃避の心配がなければ、さっさと保釈してやれよと思う(カルロスゴーンみたいな例もあるけど、さすがにあんなのがそうそうあるとは思わない)。
ただ、これは弁護士側が書いた警察や検察の話なので、かなり印象悪く書かれていたのは否めないかもしれない。なので、警察や検察の視点で書かれた記事があれば読んでみたいと思った(炎上するだろうけど)。
よく分からないのがNHK。普通にインタビュー願いならいいのに、インタビューに応じて白状すれば執行猶予になるって、いったいどうしてそういう発想になるのだろうかと。
なお、この本には、裁判の記録だけではなく、金子氏が普段どういう人だったかという話も時折挟んであって、それが面白かった。コミカルパートとでもいうべき話で、例えば「甘いものは別腹」といいながらデザートを平らげた話だとか、ひろゆきとの初対面した時のやりとりだとか。
後は、証人として呼んだ村井純教授の話とか。裁判所の地下食堂で「俺米ドルしかないや。カード使えないかな?」って、いったいなぜ米ドルはもってるのかと。
最終的に7年半の年月をかけて無罪になったそうだけど、その1年半後に亡くなったという。調べたら、享年42歳だという。そんなに若くして亡くなったのか。50代にはなってるものかと思ってた。
もし、罪を認めていれば早々に事件は幕を下ろしてもっとプログラムを作る時間ができたかもしれないとのこと。でも、申し訳ないけど、あれは無罪になるまで戦ってくれて本当によかったと思う。あれを、有罪という判例にしてしまえば、日本のITにおいて新しいことはやりにくくなるだろうから。
なお、本の最後のほうに書いてあったのだけど、この本は小説のつもりで書いたらしい。自分は小説のつもりでは読んでなかったのだけど、確かにそういわれたら小説っぽいようにも思ったし、映画化しても十分いい話だと思った。日本でこういう話の映画は、全編シリアスになりがちだけど、この話だったらコミカルな部分もあってなかなか面白いと思う。

レビュー投稿日
2021年4月4日
読了日
2021年4月4日
本棚登録日
2021年4月4日
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