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文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫 ダ 1-2)
- ジャレド・ダイアモンド
- 草思社 / 2012年2月2日発売
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世界的ベストセラーの下巻。上巻におとらず奥が深い。
日本についてだけ語られた章はないけど、ところどころに日本についても書かれてあって面白かった。
識字率が100%の国の例としてあげられてたり、日本人は「l」と「r」の区別ができないと書かれてあったり。
なお、日本人がアルファベットやカナ文字でなく漢字を使うのは、漢字の社会的ステータスが高いからなのだとか。そんな風には考えたことなかったから新鮮だ。
後、日本の話でいうと、1600年頃は世界でもっとも高性能な銃を多く持つ国だったとか(なのに今は、銃をもっている人はほとんどいない)。確かに、1600年の関ヶ原の戦いでは鉄砲で戦ってるイメージがあったけど、そんな優れていたのかと驚いた。
多くの場合、「必要は発明の母」ではなく、「発明は必要の母」という話はなるほどなと思った。案外、役立つか分からないような発見でも、未来には役だったりするしね。
蒸気期間についても、発明されてから結構な年月がたって普及したらしい。発明についての歴史については、それだけで一冊の本として読んでみたいと思えた。
オーストラリア周辺のオセアニアの歴史については全然詳しくなかったのだけど、なかなか面白かった。
ニューギニアは面積の割に言語の多い地域だとか。島々の生活だけど、結構多様性に富んでいるのだなと思った。
病原菌についての話は、コロナ禍の今読むと、感慨深い。COVID-19に限らず、中国発祥の病原菌は多いよう。
後、「日本は、日本語の話し言葉を表すには問題がある中国発祥の文字の使用を今だにやめようとしていない」と書いてあったけど、どういうことなんだろう。確かに、漢字が読めないと思うことはあるけど、話し言葉を表すのに問題があると思ったことは無いなぁ。
不思議だったは、マダガスカル島。アフリカから比較的近いのに、東南アジアから人がやってきたと考えられてるらしい。どうやってこの島に流れ着いたのだろうか。
そういえば、文系・理系という分け方は日本独特なんて話をどこかで聞いたことがあるけど、エピローグで「歴史学は、通常、理系の学問ではなく文系の学問に近いと考えられている」と書かれてあって、日本だけの考えじゃないのかと思った。調べてみると、世界にもあるけど、日本ほど断絶されてる国は珍しいらしい。知らなかった。
2023年5月24日
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植物図鑑 (幻冬舎文庫)
- 有川浩
- 幻冬舎 / 2013年1月11日発売
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ずっと積読していたけど、近々著者のサイン会に行く予定なので読んでみた。
多分、ターゲット層は恋愛小説好きの若い女性だろうけど、
面白かった。
内容は、道などに生えている雑草(※雑草という草はない)を拾って料る小説。自分はそういうことしないけど、知識として知っていれば役に立ちそうだなと思った。
裏コンセプトは、男の前に美少女が落ちてくる話の男女逆転版。男が主人公と出会った時の言葉が「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか」で、笑った(今読み返しても、この言葉だけ浮いている気がする。こんなこと言うような男じゃないだろと)。
この本を読んで、道に生えている草を拾って料理して食べるという生活に興味がでてきた。
けど、素人が下手にやると毒のある植物を間違って食べてしまいかねないので、案外難しいのかもしれないと思った(中には、虫が紛れ込んでいることもあるし)。
2023年5月5日
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文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫 ダ 1-1)
- ジャレド・ダイアモンド
- 草思社 / 2012年2月2日発売
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少し古い本だけど、やけに評判がいいようなので読んでみた。
いわゆる、人類史についての本。哲学的な内容が多く、少し分かりづらいところもあったけど、深い考察まで示された奥深い本だった。
序文に書いてあった、「日本人のみなさんにとってより親しみやすい内容ではないかと思う」というのはよく分からなかったかな。日本の話はほとんどでてこないし。下巻はもう少し日本についても触れてるのだろうか。
ただ、途中に描かれていた、人類の拡散について示した世界地図が、日本を中心とした世界地図で、珍しいなと思った。
まあ、アメリカ大陸に人が住み着くようになった経緯が、アラスカ経由だし、そういう図になるか。
ネアンデルタール人については、殺戮されて混血されていないみたいに書いてあったけど、確か今の人類にはネアンデルタール人のDNAが含まれているというのをどこかで聞いたことがあるような気がするのだけど、どうなんだろう。この本が書かれたあとに分かったことなのかな。
途中、肥沃三日月地帯という言葉が何度もでてきて、てっきりそういう種類の地域のことをいうのかと思ったら、いわゆるメソポタミアのことだそう。メソポタミア文明ってそういや習ったけど、この場所を中心に食料生産が発展したらしい。チグリス・ユーフラテス川という川の名前は憶えてるけど、どういう文明だったのかということを全く覚えてなかった。
食用植物について、野生と栽培種では全然違うものらしい。全然知らなかった。野生のアーモンドには毒があるとか。よく毒のない種類を選別して、栽培することができたなと思う。フグとかもそうだけど、最初に毒を取り除くようにした人はどうやったのだろうかと(アーモンドについては、偶然っぽくはあるけど)。
リンゴとかトウモロコシも野生と栽培種で全然違うそう。アダムとイブの禁断の果実は、野生だったのだろうか。
家畜に適さない動物として、チータがあげられていたけど、その理由が、人前でのセックスを好まないからというのが少し面白かった。そりゃ、性行為は人前でやりたくないよね。
なお、シマウマは気性が荒いため、家畜化できないらしい。馬肉とかたまに気くけど、シマウマの肉というのはあまりないのだろうか。
感染症については、免疫をもってないし医療も発達していない状態で広がると恐ろしいなということがよく分かった。アメリカの先住民も、かなりの人数がヨーロッパからの感染症で亡くなったそう。
新型コロナウイルスも、最初のうちは一気に世界中に広まって何百人も亡くなるという事態になったし、感染症は本当怖いなと思う。
2023年4月6日
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ちょっと今から人生かえてくる (メディアワークス文庫)
- 北川恵海
- KADOKAWA / 2019年7月25日発売
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『ちょっと今から仕事やめてくる』の続編(というより、スピンオフ)の本。
ただ、読んで思ったけど、『ちょっと今から仕事やめてくる』の内容をちょっと忘れてしまっているので、軽く読み返せばよかったかなと思った。
この本の最初の話の主人公が、五十嵐という人だけど、前作でどんな人だったか全く覚えてない。
その五十嵐は、ものすごいストレスで、通勤中の電車内で吐き気を催してくるような体質で、かなり辛そうだと思った(体質といっても、ストレスによる病気っぽいけど)。
こういう人って、自分の周りにはいないと思うのだけど、珍しくなかったりするのだろうか。
好きな本は山ほどあるくせに、おすすめを訊かれると途端に迷うという言葉には、共感した。
自分も趣味は読書というと、おすすめ聞かれるけど、パッとでてこないことが多い。なので最近は、おすすめを聞かれたら答える本というのをあらかじめ考えるようにしてる。
それにしても、でてくる登場人物が男ばっかりだなと思った。路上ミュージシャンが探してる旧友は、女の子にしてもよかったと思うのだけど、恋愛ものっぽくしたくなかったのだろうなと思う。
2023年3月19日
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わたし、定時で帰ります。2 打倒! パワハラ企業編 (新潮文庫)
- 朱野帰子
- 新潮社 / 2021年2月27日発売
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2023年1月2日
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三千円の使いかた (中公文庫 は 74-1)
- 原田ひ香
- 中央公論新社 / 2021年8月20日発売
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2022年10月1日
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ブラック企業に勤めております。 (集英社オレンジ文庫)
- 要はる
- 集英社 / 2016年11月18日発売
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ブラック企業に勤める事務員の女性の日常についての話。
朝8時から1時間朝礼って、そんなところ実際にあるのだろうか。時間の無駄という以前に、それだけの時間、どういう話をしてるんだろう。
ブラック企業とタイトルにつくけど、事務員だからそんなに残業するわけでもないので、それほどブラックっぽさは感じなかった(始発で出勤してるのは自分の意思だし)。
印象としては、新入社員が悪く書かれすぎな気はした。最終的には、最近の若い子ならではの方法で、仕事を成功させるのかなと思ったら、むしろ想像を絶する悪さだった。
話自体はたんたんと進んでいって、つまらないわけでもないけど特別面白いわけでもなく。何でこういう話を書こうと思ったのだろうかとちょっと気になった。
終わり方も「そんな終わり方!?」と思うほどあっけない終わり方だったし。と思ったら、どうやらシリーズものらしく、3巻まであるらしい。
実家の近くに住んでるのに、親には内緒にしていたり、いろいろ気になるところはあるので、機会があれば読んでみたいと思う。
2022年5月7日
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山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた (講談社+α文庫)
- 山中伸弥
- 講談社 / 2016年5月19日発売
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iPS細胞の発見でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏の自伝本。
なぜか外国人とのやりとりを関西弁で訳していたりと、コミカルな面白さもあった。
後、やっぱり子どものころから実験が好きな人だったんだなと思った。アルコールランプを倒してコタツの上を火の海にしたとか、母親に怒られるだけですんでよかったなと思う。
「阿倍野の犬実験はするな」という考えは面白いと思った。アメリカの犬がワンと鳴くと分かったら、日本の犬でもそうなのか調べ、さらに阿倍野の犬でもそうなのか調べて論文にするという考えらしい。事業なら、その土地の価値観にあわせるなんてことはあるだろうけど、実験では二番煎じは価値がないんだろうな。
後、やっぱこういう生物や医療の世界でも、インターネットの発達の恩恵を受けているのだなということがよく分かった。NCBIというバイオ系の研究者にとって有益なデータベースのソフトウェアを提供している研究所があるのだとか。それこそ、インターネットがなかったら山中氏が思ったようにiPS細胞の発見に30年近くかかった可能性もあったんじゃないかと思う。
iPS細胞とES細胞は、できる過程が違うものの、見た目では区別がつかないということは初めて知った。そうだったのか。でも、それならわざわざiPS細胞と名付けずに、皮膚細胞からES細胞ができたと言えばいいだけのような気もするのだけど、さすがに全く一緒というわけではないのだろうと思う。
後、ES細胞やiPS細胞を作製できるのは哺乳類の一部だけというのも初めて知った。どんな生物にもあてはまるわけじゃないのか。イモリの再生能力とはまた仕組みが違うらしい。DNAという仕組みは生物共通という話は聞いたことあるけど、そういうようにある種族特徴の細胞みたなものも多いのだろうな。まだまだ分からないことも多そう。
2022年4月12日
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ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~ (メディアワークス文庫)
- 三上延
- KADOKAWA / 2022年3月25日発売
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2022年3月27日
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給料戦争 (PHP文庫)
- 竹内謙礼
- PHP研究所 / 2016年9月3日発売
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給料から差し引かれる税金や保険や、給料の上げ方、逆に経営者目線から見た給料(人件費)の下げ方についてまで、いろいろな視点から給料について解説した小説形式の本。
著者のだしているビジネス戦略ノベルシリーズというのは今までも読んできたけど、この本も面白かった。
しかもこの本は、給料という社会人のほぼ全員が興味あるであろう話題についての本。2016年の本だけど、何で今までこの本に存在に気づかなかったのだろうと悔やまれる。
ストーリーは、お人よしの34歳の男性が、出張先のラオスで溺れている日本兵を助けるところから始まる。この日本兵は第二次世界大戦からタイムスリップしてきたのだけど、当時の戦争と、今の日本社会を比較がときどきあって面白い。
源泉徴収ってもともとは、戦費調達を集める目的で始まったのか。知らなかった。
給料を上げるための5つのことについても、参考にしたいと思った。当たり前のことだけど、自分が成長して会社のためになるのが一番いいのだろうなと思う。
10年以上も働いていて、目標がないというのは自分もあてはまるので、何ともいえない気分になった。やっぱり、ちゃんと目標をたてて仕事にとりくんでいったほうがいいのだろうな。
ただ、手取り20万円ちょっとなのに雇用保険として引かれる1060円について、「ランチ1回分のお金」と例えてるのは、もう少しランチ代おさえたほうがいいんじゃないのかと思った。
2022年1月23日
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ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)
- 北川恵海
- KADOKAWA / 2015年2月25日発売
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ブックオフで安く売られてるのを見つけたので買って読んでみた。
てっきり、最初のほうで仕事辞めるのかと思ったけど、なかなか辞めないので、タイトルはミスリードなのかなと途中、思った。
まあ、仕事が嫌で死ぬぐらいならそりゃ辞めたらいいだろうと思う。それができないって、簡単そうに思えるのだけど、追い込まれてたら判断つかなくなるんだろうな。
後は、身近な人、特に親がどう接してくれるかというのが大事なんだろうなと思った。
2021年10月17日
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ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(新潮文庫)
- ブレイディみかこ
- 新潮社 / 2021年6月24日発売
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前から書名だけよく聞いていて気になったので読んでみた。
小説なのかなと思ったら、イギリスのブライトン在住の日本人女性(著者)の母とアイルランド人の父を持つ男の子の日常をつづったエッセイ本だった。2019年に本屋大賞のノンフィクション部門の大賞をとっていたらしい(タイトルの意味を考えずに読んでたけど、だから「ぼくはイエローでホワイトで…」なのかと納得がいった)。
内容としては、人種差別や格差問題やLGBTといった、イギリスで暮らしてて感じる社会問題について書かれてあり、男の子がすごいしっかりした考え方をもたれていてすごいなと思った。
他にもいろいろイギリスと日本の違いも知れて面白かった。イギリスの中学には「ドラマ(演劇)」という科目があるとか、スノータイヤをつけて走る習慣がないとか雨が降っても傘をささないことが多いとか。後、緯度でいえば札幌より北なのだから、すごい雪降りそうな印象だと思うのだけど、スノータイヤつける習慣がないと知って驚いた。
他は、「ライフ・スキル教育」というのがあるそうなのだけど、すごいよく考えられた教科だなと思った。日本でいうと、「道徳」という科目があったけど、あれより深い感じなのかなと思った。「哲学」に近いかもしれない。
後、イギリスの貧困層も大変なんだなと。お腹をすかせている子のために、教員が自腹で何か食べさせるって、いろいろ問題だよなと思う。教員のやることじゃないだろうし。日本では「こども食堂」というのがあるそうだけど(自分も詳しくは知らない)、イギリスにはそういうとこないのだろうか。
ちょっと驚いたのが、「ハーフ」という言葉が差別的だと問題視されているという話。まあ、確かに半分と言われてるようなもんだからなぁ。だから最近では「ダブル」といわれることもあるそうだけど、男の子としては、それもおかしいだろうとのこと。日本独特の言い方だそうなのだけど、海外では自国の人間と外国人との間にうまれた子についてさす言葉はないということなんだろうか。
後、男の子の「人間は人をいじめるのが好きなんじゃないと思う。……罰するのが好きなんだ」という言葉にハッとさせられた。ネットの炎上とかまさにそうだよね。いじめてるわけではなく、変な正義感で罰するために炎上コメントを書いてる人が多いのだろうと思う。
2021年10月9日
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35歳までのお金の教室: No.1コンサルタントが教える「知らないとマズい」常識44 (知的生きかた文庫 こ 35-1)
- 小宮一慶
- 三笠書房 / 2013年5月22日発売
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2021年6月21日
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星間商事株式会社社史編纂室 (ちくま文庫)
- 三浦しをん
- 筑摩書房 / 2014年3月10日発売
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2021年6月14日
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働く男 (文春文庫 ほ 17-2)
- 星野源
- 文藝春秋 / 2015年9月2日発売
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最近何かと話題の星野源の本。
最初に発売されたのが2013年で、この文庫化された本が発売されたのが2015年だそう。自分が星野源を認識したのはドラマ『コウノドリ』の2015年10月だったから、それより前に発売した本ということになるので、ここに書いてある仕事内容は初めて知ることばかりだった。
『働く男』なんてタイトルなのに、『はじめに』の書き出しが「働きたくない。」なことにちょっと笑った。どうやら、この本を書いた時は働きたいという思いが強かったらしいけど、それから文庫本がでるまでに気持ちが変わったらしい。
それにしても、この本を読んでいるとずいぶんと多趣味な人だなと思った。お酒は飲めないそうだけど、映画に音楽にアニメにゲームにと、いろんなことに興味をもっているような人だなと思った。
特に星野源の場合、何かを好きというのはただのミーハーではなく、そこにリスペクトがこめられているのが伝わってきて、すごく親近感がわくときがある。『スーパーマリオブラザーズ』発売35周年記念のCMにも使われた『創造』とか、たくさんのオマージュが盛り込まれてるし。
後、ちょっと笑ったのが、「「星野さんモテるでしょう?」。おい、そこのそこそこかわいい女性誌ライターさん、答えは否だ! モテについて哲学し続け、ついにはモテ博士と名乗るほどになった僕が断言しよう。そんな能力はもってないわ!」と書いてあったこと。そんな人があんな美人な女優と結婚することになるなんて、これを書いた時は思いもしなかっただろうなと思う。
そういえば、『俺を支える55の○○』という企画で、いろいろなジャンルの好きな物や人をあげてあったけど、『アイドルマスター』が入ってなかったなと思った。このころはまだ好きじゃなかったのだろうか。星野源はアイマス好きのイメージがあるのだけど。
2021年5月29日
2021年5月15日
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アメリカの高校生が読んでいる経済の教科書 (アスペクト文庫)
- 山岡道男
- アスペクト / 2013年8月26日発売
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タイトル通り、アメリカの高校生が学んでいるという経済学についての本。
家計という身近な経済学から、企業、金融、政府、貿易まで、幅広い視点で書かれてあって、この本を理解できれば基本的な経済学については問題ないだろうなと思った。
自分も大学の選択授業で経済学を学んだことはあるけど、経済学は正直どうにも分かりづらい印象がある。特にグラフの見方がいまいちよく分からない。この本にも書いてあるけど、経済学ででてくるグラフというのは、どこか数学でよく見るグラフと何か違う気がする。なぜかは分からないのだけど。だいたい、需要曲線とか供給曲線と書かれてあるくせに、この本にのってるグラフは直線なのだけど、単純化しすぎじゃないのかと思った。
ちなみにこの本は2013年に発売された本ということもあって一部情報が古いところもあった。例えば、最低賃金について日本では東京の850円が最低とあったけど、調べてみると今は東京の最低時給は1013円らしい。そう考えると、ここ10年で最低時給はだいぶあがったよなと思う。実家の兵庫県の最低時給は900円だそうなので、自分が大学生のころにやってたアルバイトの時給より高い。正社員の給料はあがっているように思わないのだけど、アルバイトの給料はあがっているということなんだろうか。
GDPについては、分かるようで分かってなかったけど、海外から輸入してきたらその分の金額は引くと書いてあって腑に落ちた。すべて国産で作られたジュースが100円でうれると、総計100円という扱いだけど、原料の30円分は海外から輸入してきたものだとすると、70円だということか。まあでも、概念的なことは分かったけど、これって具体的にどうやって算出してるのだろう。
後、よく聞く「大きな政府」や「小さな政府」というのをこの本を読んでようやく理解できた。「大きな政府」というのは社会的インフラや行政サービスが充実している政府で、「小さな政府」というのは社会的インフラや行政サービスの提供を最低限にして民営化していくということらしい。そういう意味だったのか。なお、一般的に「小さな政府」は減税を推進し、「大きな政府」は増税を推進するとのこと。そりゃ、公的サービスを増やすのだからそうなるだろうなとは思うのだけど、日本の政党を見てると、むしろ逆な気がしなくもない。
なお、東京、ニューヨーク、ロンドンは世界三大市場と呼ばれてるそうだけど、このうち最大の市場はロンドンと書いてあって驚いた。普通にニューヨークだと思ってた。ロンドンのほうが大きいのか(時差的に優位らしい)。
2021年5月7日
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陽だまりの彼女 (新潮文庫)
- 越谷オサム
- 新潮社 / 2011年5月28日発売
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2021年5月3日
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探偵AIのリアル・ディープラーニング (新潮文庫nex)
- 早坂吝
- 新潮社 / 2018年5月29日発売
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推理小説をディープラーニングで学習し、事件の推理をするAIについての話。
昔読んだ、探偵の女性型ロボットと一緒に事件を解決する『半導体探偵マキナの未定義な冒険』という話のように、軽めの事件かなと思ったら、ばんばん人が死ぬ話だった。まあ、推理小説ってだいたいそうだけど。
フレーム問題についての話が面白いと思った。殺人事件の真相を推理するにあたって、いろんなパターンの組み合わせを考えてしまって、暴走に近い状態になるという。コナンみたいに、容疑者が三人に絞られている状態だと有効に機能するけど、容疑者が全くわかってない状態だと、フレーム問題を起こしてしまうという。まあ、コナンみてても容疑者と思われる人以外にも殺人が可能な人いるだとと思うことはあるし、そこらへんは結構ご都合主義なところはあるよなと思う。なお、探偵がいいあてた犯人が本当に犯人なのか証明ができないということを、推理小説の世界では後期クイーン問題というらしい。コナン見てても、もう少し言い逃れできただろうと思うこともあるしなぁ(ちょっと違うかもしれないけど)。
鈍器というものがなにかわからない話で、「donkey」(ロバ)という単語を聞いて、それを鈍器と勘違いするという話は、たしかにAIでありそうだと思った。先日も、りんごの写真を見せると「りんご」と判断つくけど、りんごに「iPod」と書いた紙を貼ると、AIはその写真が「iPod」と思ってしまうという記事が話題になってたけど、案外そういうところが苦手なのかと驚いた(https://www.gizmodo.jp/2021/03/even-ai-can-make-wrong-decisions.html)。こういうのうまく認識できるようにならないと、自動運転でも、「道」と書かれた服を着てる人を道だと思いこんで自動ブレーキが動作せずに引いてしまう、なんてことになりかねないだろうし。
なお、この小説にでてくるのは、探偵のAIだけでなく、犯罪を企てるAIというのもでてきて、そっちは推理漫画で学習することに。いろんな作品に共通してでてくるのが、黒タイツの人物だという。コナン特有なイメージがあるけど、コナン以外にもでてくるのか。
話自体、キレイに終わったようにみえるけど、多分、続きを想定して書いたんだろうなと思った。で、調べたらやっぱり、続きがあるらしい。覚えていたら読んでみたいと思う。
2021年3月14日
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心配事の9割は起こらない: 減らす、手放す、忘れる――禅の教え (知的生きかた文庫 ま 41-7)
- 枡野俊明
- 三笠書房 / 2019年8月22日発売
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禅僧である著者による考え方についての本。
いかにも、仏教の僧侶による内容で、悩み事が多い人が読んだらすくわれる人もいるだろうなと思った。
いろいろ禅についての話もでてきて、その分野について詳しくない自分には初めて知ることも多かった。
禅には「喜捨」という言葉があるらしい。みたまま「惜しむことなく喜んで捨てる」ということを意味しているらしいけど、断捨離に通じるものがあるのだろうなと思った。物から解放されると、心も軽くなるものなのかも。
2021年3月11日
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乱読のセレンディピティ (扶桑社文庫)
- 外山滋比古
- 扶桑社 / 2016年9月29日発売
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乱読をすることで、セレンディピティ、つまり予期していなかった発見をすることがあるという趣旨の本(といっても、ほとんど乱読は関係なかったような気もする)。
カトリック教会は禁書目録、つまり信者が読んではいけない本のリストを公開しているそうだけど(Wikipediaで調べてみたら、20世紀の半ばまでとあったけど、この本には毎年と書いてある)、そうすると逆に気になって読む信者もいるという話はちょっと面白かった。禁止すると逆に気になるというのは確かにあるのかも。そういうわけで著者によると、子どもに読者をさせたかったら、逆に本を読むことを禁止するのが案外有効な手とのこと。結構カケな気もするけど…。
なお、本は読んだら忘れるにまかせるのがいいとのこと。自分もたいてい読んだことは忘れたことなので良かったと思ったら、大事なことをノートに残しておくのはよくばりだとのこと。ブクログにレビューを書くのはあてはまるだろうか。
アルファ―読みとベータ読みの話はちょっと面白かった。アルファ―読みというのが、意味の分かる読書で、ベータ読みというのは意味の分からない読書らしい。いわゆる、漢文や般若心経を読むのはベータ読みとのこと。何がいいんだと思うけど、ベータ読みができると乱読が得意になるらしい。まあでも、そこまではしなくていいかな。
散歩が体にも頭にもよさそうだということは身をもって感じたそう。著者は先日亡くなったけど、長生きしたしなぁ。散歩を習慣づけてるのがやっぱりよかったんだろうか。自分も時々は散歩するようにしようと思った。
2021年2月8日
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時をかける社畜 (富士見L文庫)
- 灰音憲二
- KADOKAWA / 2017年7月15日発売
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2021年1月24日
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おもかげ (講談社文庫)
- 浅田次郎
- 講談社 / 2020年11月13日発売
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生死をさまよう主人公と、主人公の周りの人物の視点で書かれた小説。
主人公以外の視点は現実的な話なのだけど、主人公視点の話は、生霊(?)になって街を彷徨うファンタジー。そういう話だと知らなくて読んだからちょっとビックリした。
いい話だったとは思うけど、想像力のない自分には小説のファンタジーというのはどうにもイメージがつきづらい部分が多かった。いきなり場所や時代が変わることもあるし。
一番よく分からなかったのは、初恋の女性の話。体が若返って再会するという話があったけど、この流れ必要かと思った。昔の思い出として語るだけならともかく。
基本的に、各人物の視点の話は、三人称一視点で書かれてあったのだけど、なぜか娘婿の視点の話は一人称で書かれてあったように思う。なので、娘婿の視点の話だけ他と雰囲気が違うように思ったのだけど、何か意図したことなのだろうか。
2021年1月23日
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気くばりがうまい人のものの言い方: だから、心に残る。また会いたくなる。 (王様文庫 B 22-4)
- 山﨑武也
- 三笠書房 / 2019年10月30日発売
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タイトルは「ものの言い方」とあるけど、中身は著者が気分を害した発言ばかりについて書いてあった印象。
全体的に器の小さい人だなと思った。もう少し寛容的になれないものだろうかと思う。
特に、年賀状の差出人に飼い犬の名前が書いてあるのをみて、犬と人間を同列に扱うなんて失礼だと感じるという記述をみて、この人と付き合いのある人は大変だなと思った。
中には、世間一般の認識とはずれていると感じているところもあり(それは著者も認識していそうだけど)、それをそのまま他の人に言っても、大抵の人は気くばりがいいとは思わないだろうなと思うこともいくつかあったような気がする。
そういうこともあって、途中で読むのをやめようかと思ったけれども一応全部読んだ。幸い、最後の方に記載のあった友だちと別れ際、「死ぬなよ」と言われた発言はちょっと面白かった。
ところで、日本人の名前をローマ字で書くときは、米英の風習に従って名を先に書いて姓を後に書くべきだとのことだけど、1年ぐらい前に政府から姓-名の順番にするという話が合ったけど、あれには反対なのだろうか。後、外国人が日本に来てカタカナで名前を書く場合は、姓-名の順番で書くべきだと考えているのだろうか。
2021年1月13日