オビには「密室殺人」とあるし、本の裏表紙にもミステリーとあるので、一応推理小説というカテゴリで括ってみたけど、私の中では推理ものではありません。密室殺人という煽りも個人的にはどうかと思う。
ROMMYという天才歌手が録音スタジオの仮眠室で殺されていて、スタジオの入口は目線、出口は中からの一方通行という状態での密室なんでしょうけど、仮眠室そのものは普通に入れるし、スタジオの中には関係者がいるわけですから、密室というよりクローズドサークルですね。
それについてもちょっとお粗末な気がするのだけど、この辺は好みの問題かな。
また、読者を欺くためなのだろうけど、ある部分の行動や言動がどこかおかしい。登場人物が、事実を歪曲させるために他者へ嘘を言うのは分かるのだけど、周りに誰もいない状況でも心の中で嘘をついているように読めてしまうので、最後に用意してある殺人とは関係ないどんでん返しに少々興ざめを覚えてしまうのです。
この本、随分前に読了し、今ひとつと思っていたのだけど、どの辺が今ひとつなのか当時は分かりませんでした。
今回、その辺を考察しつつ再読してみたわけですが、結局のところ、行動や言動がどこかズレている点に違和感を覚えているんですね。
常識では考えられない館があってもいいし、少々破天荒なトリックがあってもいいのだけど、登場人物たちの行動や言動を含めた物語世界が論理的でないのは、やっぱり頂けないかな。
そういった論理性を踏まえた上で、新しい世界を見せてくれる本が好きです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
推理小説
- 感想投稿日 : 2012年3月3日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年3月3日
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